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AIでモーターの「健康診断」、異常のしきい値は自動判定従来よりも容易な予知保全を実現(2/2 ページ)

» 2022年06月09日 18時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]
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異常検知のしきい値をAIが自動判定

 OtoSense SMSの最大の特長は、導入、使用、運用が簡単なことだ。「専門的な知識がなくてもセンサーを取り付けられ、5分もあれば使用を開始できる」(アナログ・デバイセズ)

 さらに、異常検知のしきい値をAIが学習して判定する点もメリットだ。同社は「モーターの予知保全については類似の既存ソリューションも存在するが、しきい値判定がユーザーにゆだねられるものが多い。これは、ユーザーにとってはかなり難しいことだ。そのため、せっかくソリューションを使い始めても、途中で使用をやめてしまうといった声もある」と述べる。

 アナログ・デバイセズは、3カ月間、約6万円で使用できるOtoSense SMSの評価キットを提供している。ただし、多くの場合、3カ月の間にモーターに不具合が起きることは考えにくいため、異常判定の精度(AIの推論精度)については、「具体的な数値を出すのは難しい」という。「代わりに、現場で実際に使ってもらい、使い勝手や、実際の取得データなどを確認していただくとともに、製造ラインのダウンタイムやメンテナンスのコストの削減に貢献できるとアピールしている」(同社)

 現場のユーザーにとっては、モーターの状態を常に見られるだけでも大きいと同社は説明する。「反響は非常に大きく、これなら簡単に使えると言っていただくことが多い」(アナログ・デバイセズ)

 OtoSense SMSは既に世界30カ国以上で導入実績がある。例えば、ソフトクリームの総合メーカーである日世は、ソフトクリーム製造の乳化作業を行うホモゲナイザーの不具合監視とメンテナンスのために、OtoSense SMSを導入した。

ホモゲナイザーのモーター冷却ファンに設置したOtoSense SMSのセンサー 出所:アナログ・デバイセズのニュースリリース、写真提供は日世

 アナログ・デバイセズは「低圧三相誘導モーターは、年間に数千万台、出荷されるといわれている。OtoSense SMSのセンサーは古いモーターにも取り付けられるので、ターゲットとなる市場は大きい」と期待を語った。

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