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» 2022年05月27日 15時30分 公開

「TransferJet X」のデモ展示、大容量データを瞬時に通信60GHz帯使用の高速近距離無線

TransferJetコンソーシアムは「ワイヤレスジャパン 2022」(2022年5月25〜27日、東京ビッグサイト)で、60GHz帯を使用する近接高速無線規格である「TransferJet X」を適用した技術のデモを展示した。

[村尾麻悠子,EE Times Japan]

 TransferJetコンソーシアムは「ワイヤレスジャパン 2022」(2022年5月25〜27日、東京ビッグサイト)で、60GHz帯を使用する近接高速無線規格である「TransferJet X」を適用した技術のデモを展示した。

 TransferJet Xは、IEEE 802.15.3eに準拠する規格で、2022年5月24日に策定完了が発表されたばかりである。4.8GHz帯を用いる従来のTransferJetに比べ、20倍以上の高速化を実現する(TransferJetとTransferJet Xの互換性はない)。転送レートは最大13.1Gビット/秒(bps)で、通信対象との接続開始時間はわずか2ミリ秒以内と、瞬間的に接続できることが特長だ。さらに、1対1の通信なので通信速度が落ちないことも利点である。

 TransferJetコンソーシアムのプロモーター会員(規格書作成やコンソーシアムの運営活動を行う会員)である日本無線は、「モバイル機器などをかざした瞬間に大容量のデータを送信する“タッチ&ゲット(Touch & Get)”のソリューションとして展開を目指す。例えば、スマートフォンや交通系ICカードなどをかざさずに通過できるタッチレス改札やゲート、大容量データを高速にダウンロードできるスポットなどの用途を想定している」と話す。

 60GHz帯を利用するWi-Fiや、ミリ波帯を使用する次世代セルラーとのすみ分けについては、「Wi-Fiやセルラーが基本的に広域をカバーするのに対し、TransferJet Xは数センチや数メートルなど近距離での高速通信に特化する。1対1の通信により通信速度が落ちないこともポイントだ」と説明する。必要な時に、瞬時につなげて瞬時に切る。そのようなスポット的な使い方に強みを発揮できるとする。

 日本無線は、同じくプロモーター会員のソニーセミコンダクタソリューションズと、JR東日本とともに、タッチレス改札を試作。2020年には、JR山手線の高輪ゲートウェイ駅の開業イベントで、その試作品を展示している。日本無線は、局所的に電波を発信するゲートアンテナの試作を担当した。「荷物を抱えたユーザーや、車いすユーザー、ベビーカーを押しているユーザーなどにとって、タッチレス改札は非常に使いやすいのではないか。その際、ミリ波の特性を生かして広域に広がらず、局所的に電波を送信できるTransferJet Xは有利になると考えている」(日本無線)

 実証実験は「残念ながらコロナの影響でなかなか進んでいない」としつつ、コロナ禍だからこそ、タッチレス改札は受け入れやすくなるのではないかとも述べた。

対応SoCの開発も完了

 ハードウェア関連では、日本無線とソニーセミコンダクタソリューションズが共同出資して立ち上げたHRCPは、TransferJet X準拠のSoC(System on Chip)の開発を完了したばかりだ。スマートフォンへの搭載は「まだこれから」(日本無線)だが、評価や実証に使用できるキーホルダー型端末を開発。このキーホルダー型端末は、BLE(Bluetooth Low Energy)もサポートするので、スマートフォンとも連携できる。

「TransferJet X」に準拠したSoCやUSBドングル、キーホルダー型端末、アンテナ[クリックで拡大]

 会場では、TransferJet Xを使った映像伝送のデモを行った。Ethernet bridgeのインタフェースも備えた、TransferJet X準拠の無線装置を2台使用し、有線(SDIケーブル)と無線(TransferJet X)の両方で映像を伝送。遅延や画質を比較できるようにした。

左=デモの構成。「TransferJet Xで送信しイーサネットケーブルでモニターに出力した映像」と「SDIケーブルでモニターに出力した映像」を比較できるようにしている/中央=赤枠で囲んだ物が無線装置。右側は送信ユニットで、左側は受信ユニット/右=モニターに表示された映像を比較すると、有線、無線で違いは感じられなかった。正確にはTransferJet Xで送信した方が、若干の遅延は発生するそうだが、人間の目では認識できないレベルだという[クリックで拡大]

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