今回は、2022年後半および、2023年以降の半導体市況の見通しについて私見を述べさせていただく。
WSTS(世界半導体市場統計)は2022年6月7日、2022年春季半導体市場予測を発表した。それによると2022年の世界半導体市場規模は前年比16.3%増、2023年は同5.1%増とプラス成長が続くと予測した。WSTSでは、2021年11月の時点で2022年を同8.8%増と予測しており、今回はこれを上方修正したことになる。現状を見ればこの修正に異論はないが、2023年の2022年比5.1%増という予測をどう評価すべきか。筆者は本連載で「2022年半ばに市況の潮目が変わる可能性がある」と主張してきた(関連記事:2022年半導体市況展望、15%超の成長が見込めるが年央に潮目が変わるかも)。実際のところはどうなのか。今回は、2022年後半および、2023年以降の市況の見通しについて私見を述べさせていただく。
半導体製品別の市場規模をみるとディスクリートは2022年を2021年比10.2%増と予測している。2022年1月から4月までの実績を見ると前年同期比9.8%増、順当な予測に見える。ただ、2022年3月まで同10%を超える成長を続けていて4月に同5.5%減と20年6月以来のマイナス成長に落ち込んだ。小信号系、パワートランジスタ、いずれも4月はマイナス成長である。上海など中国各地でロックダウン政策が採られた影響が出ているのではないか、と推察される。そうであれば5月も同様の状況が継続されるだろう。6月になってロックダウンは解除されているが、物流の混乱やマクロ経済の今後の動向を考えると、WSTSの予測は「達成されれば御の字」ではないだろうか。2023年の2022年比3.8%増という予測に特に違和感はなく、今までのような高成長は望めそうにない。ただし中長期的には、クルマの電動化を中心にパワートランジスタの需要増が期待できるので、2024年以降の動向に期待したい。
光半導体は2021年比0.3%増と予測している。2022年1月から4月までの実績を見ると前年同期比2.9%減。この市場は約半分がイメージセンサーで占められており、こちらは4月までの実績が同13.2%減と2ケタのマイナス成長に落ち込んでいる。現状の傾向から考えると2022年はマイナス成長になる可能性が高いだろう。2023年の予測は2022年比3.7%増となっているが、スマホ1台当たりのイメージセンサー搭載数量がどう変化するかによって見通しが大きく変わるので、その動向を見守る必要がある。
センサーは2021年比15.7%増という予測。2022年1月から4月までの実績を見ると前年同期比19.1%増、安定した成長をみせており、WSTSの予測はやや保守的に感じられる。2023年の予測、2022年比3.6%についても同様で、この市場は当面は2ケタ成長を期待しても良いのではないか、と筆者は期待している。
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