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NXP、産業/IoTエッジ機器向けMCXマイコン発表セキュリティや拡張性を強化

NXPジャパンは、産業/IoT(モノのインターネット)エッジ機器に向けた新しいMCXマイクロコントローラ(MCU)を発表した。Arm Cortex-MコアをベースとしたMCXは、用途に応じて4つのシリーズを用意した。【訂正あり】

» 2022年06月17日 11時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

独自開発の機械学習エンジン搭載で、推論を最大30倍高速に

 NXPジャパンは2022年6月16日、産業/IoT(モノのインターネット)エッジ機器に向けた新しい「MCX」マイクロコントローラ(MCU)を発表した。Arm Cortex-MコアをベースとしたMCXは、用途に応じて4つのシリーズを用意した。独自開発の機械学習エンジン(NPU)を内蔵するシリーズでは、エッジ側での推論処理を大幅に高速化できるという。

 MCXは、同社現行品の「Kinetisシリーズ」と「LPCシリーズ」の製品群を統合する形で開発したMCUとなる。Arm Cortex-Mコアをベースに、最大4Mバイトのフラッシュメモリ、低消費電力のキャッシュメモリ、最大1MバイトのSRAMなどを内蔵する。

 今回発表したMCXは、「MCX Nアドバンスドシリーズ」「MCX Aエッセンシャルシリーズ」「MCX Wワイヤレスシリーズ」および、「MCX L超低消費電力シリーズ」の4シリーズとなる。

MCXの製品群(クリックで拡大) 出所:NXP

 高性能の「MCX Nシリーズ」は、動作周波数が150M〜250MHzで、「NPU」と「EdgeLock」セキュアサブシステムを内蔵する。NPUを内蔵したことで、Arm Cortex-M33コアのみでAIアルゴリズムを処理する場合に比べて、処理能力は最大30倍も向上するという。

NPUの性能比較とEdgeLockセキュアサブシステムの特長(クリックで拡大) 出所:NXP

 「MCX Aシリーズ」は、動作周波数が48M〜96MHzで、コスト要求が厳しいモーター制御などの用途に向けてアナログ機能を強化した。「MCX Wシリーズ」は、動作周波数が32M〜150MHzで、Bluetooth Low Energy機能を内蔵している。これによって、IoT機器へワイヤレス接続の機能を容易に追加することができる。「MCX Lシリーズ」は、動作周波数が50M〜100MHz。動作電力とリーク電流が極めて小さく、電池の駆動時間を大幅に延ばすことができるという。

 製品出荷はMCX NシリーズとMCX Wシリーズが2022年10月以降、MCX AシリーズとMCX Lシリーズは2023年以降を予定している。

 なお、開発環境としてはNXPのソフトウェア/開発ツールスイート「MCUXpresso」を利用することができる。また、機械学習とランタイム推論は、NXPの「eIQ」機械学習ソフトウェア開発環境によってサポートされる。

和島正幸氏 出所:NXP

 NXPジャパンの社長でNXP Semiconductorsの副社長も務める和島正幸氏は、「NXPは自動車分野で強みを持つが、長期的に見れば新たな応用分野も広げていく必要がある」と話す。こうした中で注目するのが産業/IoT機器の領域である。2021〜2024年の年平均成長率は9〜14%と予測されている。

 この中でも同社が狙うのは、年平均25%の成長率が見込めるという、「コネクテッドデバイス」の領域。「先進のセキュリティ」と「優れた拡張性」を実現したMCXを市場投入することで、産業/IoT機器に向けたMCU事業をさらに拡大していく計画である。

NXPの市場別売上高構成比と産業/IoT分野の市場性(クリックで拡大) 出所:NXP

【訂正とお詫び】初出時、タイトルに誤りがありました。お詫びして、訂正します。(2022年6月20日午前9時7分/編集部)

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