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» 2022年07月04日 13時30分 公開

日欧連携で300GHz帯双方向リアルタイム伝送に成功テラヘルツ通信の運用可能性示す

早稲田大学らによる国際共同研究グループは、世界初となる「300GHz帯双方向リアルタイム伝送」に成功した。テラヘルツ通信は、Beyond 5G/6Gシステムにおいて、基地局間を接続する方法の1つとして注目されている。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

ブラウンシュヴァイク工科大学構内で、無線伝送装置の動作を実証

 早稲田大学理工学術院の川西哲也教授らを中心とする国際共同研究グループは2022年6月、世界初となる「300GHz帯双方向リアルタイム伝送」に成功したと発表した。テラヘルツ通信は、Beyond 5G/6Gシステムにおいて、基地局間を接続する方法の1つとして注目されている。

 現在の移動通信システムにおいて、基地局間を接続するネットワークとしては、光ファイバーを用いるのが一般的である。5G(第5世代移動通信)以降の世代になると、設置する基地局数も膨大となる。このため、その1部にテラヘルツ無線を活用して基地局間を接続することが検討されている。

 こうした状況を踏まえ、欧州委員会の「Horizon2020」および、情報通信研究機構(NICT)の委託研究として、日本と欧州の産学官による共同研究プロジェクト「大容量アプリケーション向けテラヘルツエンドトゥーエンド無線システムの開発(ThoR)」が2018年7月にスタートした。川西教授がリーダーを務めるこのプロジェクトでは、実際のネットワークに接続可能な300GHz帯高速無線伝送システムの開発を目標とした。

 今回の300GHz帯双方向リアルタイム伝送実験(伝送距離160m)は、ThoRプロジェクトの成果を実証するため、ドイツ・ブラウンシュヴァイク工科大学構内で行った。「この帯域幅を用いた双方向通信で、実際のネットワークに接続可能な無線伝送装置の動作実証は世界でも初めて」という。開発した無線伝送装置は8.64GHz×2の帯域幅を用い、伝送速度20Gビット/秒×2(双方向)に対応している。帯域幅を拡張すれば、さらなる高速化も可能だという。通信規格「IEEE 802.15.3」に準拠した信号形式での伝送実験にも成功した。

左はブラウンシュヴァイク工科大学構内のOker TowerとITセンター(距離160m)を結ぶ無線装置、右はブラウンシュヴァイク工科大学構内建物屋上に設置された双方向テラヘルツ無線装置(クリックで拡大) 出所:ブラウンシュヴァイク工科大学Thomas Kurner教授

 早稲田大学と千葉工業大学、岐阜大学は、ThoRプロジェクトの成果を基に、日欧連携をさらに発展させ、屋外で長期間の動作が可能な小型テラヘルツ無線伝送装置を開発していく。さらに、複数のテラヘルツ無線伝送装置を連携させ、悪天候時でも安定した高速データ伝送を可能とする技術を開発していく計画である。

 今回の研究成果は、川西教授の研究グループと千葉工業大学、岐阜大学、NEC、高速近接無線技術研究組合および、欧州の7研究機関(ブラウンシュヴァイク工科大学、フラウンホーファー応用固体物理研究所、シュツットガルト大学、ドイツテレコム、リール大学、Siklu Communications、VIVID Components)によるものである。

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