NXP Semiconductorsは、ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)に向けた車載用リアルタイムプロセッサとして、車両制御を主なターゲットにした「S32Zファミリー」と「S32Eファミリー」を発表した。
NXP Semiconductorsは2022年6月23日、ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)に向けた車載用リアルタイムプロセッサとして、車両制御を主なターゲットにした「S32Zファミリー」と「S32Eファミリー」を発表した。ドメイン/ゾーンという自動車の新たなE/E(電気/電子)アーキテクチャを実現するための性能や機能を備えている。
新製品は16nmプロセスを用いて製造する。「S32Z2シリーズ」は、スプリットロック機能を備えたArm Cortex-R52プロセッサコアを8個搭載した。動作周波数は最大1GHzである。また、ロックステップ動作のArm Cortex-M33プロセッサコアも2個内蔵している。これにより、Cortex-R52コアの1つに問題が生じても、それを検知して動作を停止させ、別のコアを用いて処理を継続させることができるという。
この他、AIアルゴリズムを処理する機械学習専用「MLプロセッサ」や、24チャネルのCANインタフェースとTSN(Time-Sensitive Networking)対応のギガビットイーサネットスイッチをサポートする通信アクセラレーター「FlexLLCE」、セキュアブートや高速セキュリティサービス、鍵管理を行う「ハードウェアセキュリティエンジン(HSE)」、最大64Mバイトの統合フラッシュメモリなどを集積している。
「S32E2シリーズ」は、S32Z2をベースに512kバイトのデータフラッシュメモリやSAR(逐次比較型)A-Dコンバーター、アドバンストタイマー、5VアナログI/Oなどを追加し、1パッケージに集積した製品である。
「S32Zファミリー」と「S32Eファミリー」は、コアから端子までのハードウェア仮想化により、複数の分離されたバーチャルマシン(VM)をサポートしている。また、ハードウェアを分離したマルチテナント化により、干渉を回避することができる。これにより、ドメインコントローラとバッテリー監視用ECUの統合など、複数ECUの統合を容易に実現できるという。
なお、Arm Cortex-R52プロセッサを4コア搭載した廉価版の「S32Z1シリーズ」や、5nmプロセスを用いて製造する次世代のS32プロセッサなども、順次用意していく計画である。
S32Z2シリーズの「S32Z280」とS32E2シリーズの「S32E288」については、主要顧客へのサンプル出荷を始めた。車載統合プラットフォームソフトウェア「GreenVIP」や開発プラットフォーム「GreenBox 3」を活用することで、シリコンの評価やソフトウェア開発、製品の試作を迅速に行うことができるという。
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