東芝デバイス&ストレージは、同社として3世代目になる「SiC(炭化ケイ素)MOSFET」を開発し、2022年8月下旬から量産を始める。同社第2世代製品に比べスイッチング損失を約20%削減できることを確認した。
東芝デバイス&ストレージは2022年7月、同社として3世代目になる「SiC(炭化ケイ素)MOSFET」を開発し、2022年8月下旬から量産を始めると発表した。同社第2世代製品に比べスイッチング損失を約20%削減できることを確認した。
新製品は、従来のSiC MOSFET内部に、SBD(ショットキーバリアダイオード)をPNダイオードと並列に配置する構造にしたことで、SiCデバイスとしての信頼性を向上させた。その半面、単位面積当たりのオン抵抗(RonA)が増加したり、性能指数(Ron*Qgd)が大きくなって損失が増加したり、オン抵抗(Ron)を小さくするためにチップ面積が大きくなったりするなど、課題もあったという。
これらの課題を解決するため同社は、新たなデバイス構造を開発した。まず、SiC MOSFETのp型の広い拡散領域(p-well)の下側に窒素を注入した。これにより、広がり抵抗(Rspread)を削減し、SBDの電流を増加させた。また、JFET領域にも窒素を注入し、JFETの面積を小さくした。これにより、RonAを上げることなく帰還容量を小さくすることができたという。
第3世代のSiC MOSFETは、新たに開発したデバイス構造を用いることで、第2世代品と比べRonAを43%も削減した。Ron*Qgdも80%削減し、スイッチング損失を約20%削減できることを試作チップで実証した。しかも、SBDを配置したことでRonAの変動が起きず、安定した動作が得られることを確認したという。
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