アナログ・デバイセズ(ADI)は「第2回 国際二次電池展(秋)」(2022年8月31日〜9月2日、幕張メッセ)に初出展し、バッテリー分野に向けた最新の製品を展示した。
アナログ・デバイセズ(ADI)は「第2回 国際二次電池展(秋)」(2022年8月31日〜9月2日、幕張メッセ)に初出展し、バッテリー分野に向けた最新の製品を展示した。
セキュア認証用IC「DS28C50」を使用した、バッテリーパック認証のデモを披露した。DS28C50には、旧Maxim Integratedの特許取得済みの技術である「ChipDNA」が使われている。ウエハー製造中に発生する、アナログのIV特性のばらつきを利用してPUF(Pysical Unclonable Function/物理的に複製不可能な機能)暗号を作成する技術で、ソフトウェアベースのセキュリティ技術に比べ、高いセキュリティを実現する。
デモでは、DS28C50を搭載した基板をバッテリーパックに見立てて真贋判定を行い、本物であればファンが動作し、偽物の場合はファンが動作しないことを示した。これを応用すれば、バッテリーパックが認証済みかそうでないかを判定し、認証されていない場合はシステムを稼働させない、あるいはシャットダウンする、といったアプリケーションも可能になる。
バッテリーの充放電試験に向けたASSPも紹介した。オペアンプやスイッチIC、A-Dコンバーター、リファレンス電源などを1チップ化したもので、同ASSPを試験機に搭載することで、一度に4個の電池の充放電試験を行える。
同社の担当者は「電池の生産性を向上するのは難しい。特に、正極に被膜を作る化成工程には、数時間から数日かかる場合があり、どうしても製造には時間がかかってしまう。そこで、1台の充放電試験機で扱える電池の数を増やすことで、製造ではなく試験の効率を上げるアプローチを提案している」と説明する。
このASSPを搭載したボードは、1枚当たり最大40Aまで、0.01%FS(フルスケール)の精度で試験を行える。「自動車向けなどで、それよりも大電流を扱う場合、ボードを増やすことで160Aまで対応可能だ。そのため、コンシューマー向けから自動車向けまで幅広い用途のバッテリーに対応できる」(同社)
大電力蓄電池や家庭用蓄電池に向けたBMS(バッテリー管理システム)ソリューションも展示した。バッテリーメーターや絶縁トランシーバー、絶縁電源など、アナログ・デバイセズの製品を組み合わせてBMSを構成できる。「バッテリーメーターは、用途に合わせて12セル対応、18セル対応なども選択できる。他にも、自動車向けにASIL D対応品を用意するなど、幅広い品種をそろえている」(アナログ・デバイセズ)
アナログ・デバイセズのブースでは、NTTアドバンステクノロジが、開発中の「SQPV(Solar Quartz Photovoltaic)ガラス」を参考出展していた。SQPVガラスは、見た目は通常の透明なガラスだが、可視光以外の赤外線と紫外線を電気エネルギーに変換できる、つまり発電できる機能を備えている。
アナログ・デバイセズは、MPPT(最大電力点追従)と充電管理機能付きの環境発電向け昇圧レギュレーター「ADP5091」を展開していて、SQPVガラスのような環境発電デバイスと組み合わせることを提案していた。ADP5091は、入力動作電圧範囲が0.08〜3.3V、消費電流が510nAと小さい。「アナログ・デバイセズは、バッテリーのみならず環境発電向けのソリューションも用意している」(アナログ・デバイセズ)
NTTアドバンステクノロジの担当者によれば、現在、SQPVガラスの発電量は30×30cmのサイズで数ミリワット程度だという。「昇圧してLED1個を点灯できる程度。開発目標は、発電量を現在の100倍、つまり100〜200mWまで上げることだ」(同社)
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