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CMOSイメージセンサーは13年ぶりのマイナス成長へ、ソニーはシェア低下?

CMOSイメージセンサー市場の行方について、最新の分析をまとめました。

» 2022年09月26日 15時55分 公開
[永山準EE Times Japan]

 この記事は、2022年9月26日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。

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CMOSイメージセンサーは13年ぶりのマイナス成長へ、ソニーはシェア低下?

 ここ最近になり、メモリを筆頭に急激に半導体市場が落ち込んできたことがメーカーの発表やアナリストの分析などで明らかとなってきましたが、近年、力強く成長を続けてきたCMOSイメージセンサー(CIS)についても2022年、13年ぶりのマイナス成長に転ずるという予測が出てきました。また、同市場トップの地位を守るソニーもシェアを落としたとする市場調査会社の発表も。大きな動きを見せるCIS市場の行方について、最新の分析をまとめました。

 CIS市場のマイナス成長については米国の市場調査会社IC Insightsが2022年9月15日(米国時間)に発表しています。CISは近年、スマートフォンの普及および多眼化/センサーの大判化などのトレンドによって大きく成長しており、IC Insightsによれば2016〜2021年の売上高の年平均成長率(CAGR)は13.9%となっています。ただ、同社によると、直近の同市場は2020年が前年比4%増、2021年は前年比5%増と成長が鈍化。そして2022年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による巣ごもり需要などで前年まで売り上げを支えたスマホ/PC市場の低迷を主因に、前年比7%減の186億米ドルと、13年ぶりのマイナス成長に転ずると予測しています。

CMOSイメージセンサー市場の成長推移[クリックで拡大] 出所:IC Insights

 また、同社はスマホおよびPC需要の低迷の他、ロシアのウクライナ侵攻や米国の対中輸出規制、中国のロックダウン、スマホ多眼化トレンドの鈍化、インフレおよびエネルギーコスト上昇による世界経済の悪化などもマイナス影響として挙げています。特に「スマホの多眼化」は、成熟したスマホ市場におけるCIS成長の鍵の一つとされてきましたが、同社は、「ハイエンドスマホには5つ以上カメラが搭載されているものもあるが、ほとんどの端末の平均は3つにとどまっている」と分析。CIS市場の落ち込みについて、「主流のミッドレンジスマホ出荷の減速と、搭載カメラ数増加の予期せぬ停滞が重なった『パーフェクトストーム』だ」と述べる中国メーカーの幹部の声を紹介していました。

 IC Insightsによると、CISは現在もスマホ向けが市場全体の3分の2ほどを占める支配的な存在となっていますが、同社はそのシェアが2026年までに約45%にまで減少すると予想。今後の市場の成長は、スマホの買い替えサイクルの他、自動車の自動運転や医療アプリケーション、そしてインテリジェントセキュリティネットワーク向けシステムの組み込みカメラなどの分野に支えられる見込みで、2023年には市場の売上高が前年比4%増の193億米ドルと再び成長に転換。2021〜2026年のCAGRは6%と着実に成長し2026年には269億米ドルに達すると予測しています。

ソニーは「2年連続で市場シェア低下」

 CIS市場については今月(9月8日)、フランスの市場調査会社Yole Groupも調査レポートを発表しています。同社の分析では、2021年のCIS市場の売上高は前年比2.8%増の213億米ドルとなっており、「過去10年間で最も低い成長率だった」と説明しています。

 一方、同社はここで成長率が「底を打った」との見解で、米国の制裁を懸念した一部の中国系企業による在庫積み増しなどによって2021年第4四半期には「CIS生産量として過去最高だった」とも説明。その後市場は安定化しているものの、現在はモバイルの他、自動車やセキュリティイメージングなど分野の拡大によって「新たな成長サイクルが始まっている」と期待を示しており、CIS市場は2021〜2027年のCAGRが6.7%と成長を続け、2027年には314億米ドルに達すると予測しています。

CMOSイメージセンサー市場の全体および分野別予測[クリックで拡大] 出所:Yole Developpement

 分野別でみると、モバイル向けが依然として最大の分野で2021〜2027年のCAGRが6.4%と着実に拡大していく他、2番目に大きいセキュリティ分野が同期間のCAGR10.8%、3番目の自動車分野がCAGR11.2%、産業向けがCAGR9.1%と大きく成長することを予測しています。

 さらにこのレポートでは市場トップのソニーが2021年、市場シェア39%で前年から1ポイント失ったと分析。Yoleが昨年(2021年8月)発表した分析によれば、ソニーは2020年もシェアを2ポイント失っており、2年連続の減少となっています。この主な要因は米国の輸出規制に伴うHUAWEI向け出荷減の影響としており、Yoleは、「輸出規制の影響でソニーが2020年に成長を停止したため、競合他社は市場シェアを高め、顧客を拡大することができた」と説明。2位のSamsung Electronicsは前年同様シェア22%、3位のOmniVisionは前年から2ポイント増の13%となっています。なおYoleは特にOmniVisionやGalaxycore、Smartsensといった中国CISメーカーについて、「米中貿易摩擦の直接的な結果として、特にセキュリティカメラ市場で力強い成長を遂げている」と指摘していました。

CMOSイメージセンサー市場の企業別シェア[クリックで拡大] 出所:Yole Developpement

「25年度までにシェア60%」、目標崩さぬソニー

 さて、2年連続でシェアを落とす形となってしまったソニーですが、こうした厳しい環境が続く中、2022年6月、コロナ禍や“HUAWEIショック”以前の2019年から掲げる『2025年度までに金額シェア60%』という目標を維持することを明言しています。

 同社は、2022年度第1四半期(2022年4〜6月)の決算発表時、主に中国スマホ市場でのミッドレンジ、ローエンド向け製品の減速から、通期売上高予想を同年5月時点から300億円下方修正したものの、それでも売上高は1兆4400億円、営業利益は2000億円と、前年度(売上高1兆764億円、営業利益1556億円)からは大幅な増収増益になる予想です。

 この発表時、同社は、「スマホメーカー各社で大判、高画質イメージセンサー搭載ハイエンドラインアップの導入が順調に進んでおり、カメラ機能の高画質化や性能向上のトレンドが、より明確になってきた」「第2四半期以降、大判センサーの顧客展開がさらに加速し、モバイル向けの売上成長を牽引していくことを見込んでいる」とし、同社が強みとする大判、高画質CISへの需要が拡大し、追い風が吹いていることを強調。さらに、ロジック半導体の需給バランスが緩和したことから、供給制約により生産に制限があった高付加価値イメージセンサーも「増産が徐々に可能となってきた」と説明しています。

 この他、中長期的に大きな成長を見込む車載向けや、AITRIOSなどのソリューション事業の技術開発、事業展開にも「引き続き積極的な投資をする」と、前述の急速な成長が期待される分野向けの取り組みにも言及。業績回復/成長に向けて着実に歩みを進めている様子を示していました。

 というわけで直近のCIS市場は厳しく、ソニーもシェアを落としたことが分析されているものの、見通しは決して暗くはない様子。ソニーの通期予想については2022年度第2四半期(2022年7〜9月)の決算発表時に更新がされる可能性はありますが、強気の予想と取り組みの結果を期待しながら見守っていきたいと思います。

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