ルネサス エレクトロニクスは2022年9月28日、アナリストや報道機関向けに、戦略について進捗やアップデートを説明する「Progress Update」を開催した。社長兼CEO(最高経営責任者)を務める柴田英利氏は、「これまでは、短期的に成果を上げるべく、スピード感を重視した経営を行ってきた。半導体不足の影響による追い風などに助けられつつ、一定以上の成果を出せたと自負している。ここからは、腰を据え、投資のアクセルも踏みながら、長期的な目線で胆力のある経営を行っていきたい」と語った。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2022年9月28日、アナリストや報道機関向けに、戦略について進捗やアップデートを説明する「Progress Update」を開催した。社長兼CEO(最高経営責任者)を務める柴田英利氏は、「これまでは、短期的に成果を上げるべく、スピード感を重視した経営を行ってきた。半導体不足の影響による追い風などに助けられつつ、一定以上の成果を出せたと自負している。ここからは、腰を据え、投資のアクセルも踏みながら、長期的な目線で胆力のある経営を行っていきたい」と語った。
その上で2030年に向けた目標として、「組み込み半導体ソリューションのサプライヤーとしてトップ3位内に入ること」「売上高200億米ドルを大きく超えること」「ルネサスの時価総額を、2022年比で6倍に引き上げること」の3つを掲げた。
説明会の冒頭、柴田氏は、2013年からのルネサスの動きを振り返った。2013年は、政府系ファンドである産業革新機構と顧客企業8社から第三者割当増資に伴うルネサスへの払い込みが完了し、ルネサスが“実質的に国有化”された年である。
2016年には熊本地震の影響で売上高は減少したものの、その翌年(2017年)から、ルネサスは外資系半導体メーカーの積極的なM&Aを実施していく。「ちょうどこのタイミングから、それまで温めていたM&A計画を実行し始めた。製品群を拡張しつつプロダクトミックスを変えることなどが目的で、当社はグローバリゼーションの第1歩を踏み出した。そして、IDTの買収を完了した2019年ごろから、M&A戦略と成長の足並みがそろってきた」(柴田氏)
柴田氏は、長期的な成長戦略として、3つの軸「成長に対する、より強い意識」「ソリューションフォーカス(=デバイスからソリューションへの移行)」「ユーザーエクスペリエンスの強化」と、それらの軸を生かすための4つの土台「多様性」「ファブライト化」「ルネサス・カルチャー(企業文化)」「ESG(環境・社会・ガバナンス)」を掲げた。
「成長に対する、より強い意識」に関わる取り組みとして、2022年前半、ルネサスは組織変更を行った。「より速く成長する顧客、ロングテールで伸びる顧客(成長のポテンシャルが大きい顧客)をそれぞれ追うための組織変更を行った。この組織変更を含め、さまざまな取り組みを行っている結果、成長が速い市場/顧客でのデザインインが、過去数年間で大きく伸びている」(柴田氏)
「ソリューションフォーカス」では、ルネサスの製品と、Intersil、IDT、Dialog SemiconductorなどM&Aで統合してきたメーカーの製品を組み合わせる「ウィニングコンボ」の拡充を図る。とりわけ柴田氏が「強化していきたい」と語るのが、ウィニングコンボの中でも高品質の位置付けとなるフルシステムソリューションだ。
フルシステムソリューションとは、例えば産業/インフラ/IoT(モノのインターネット)向けではそのまま組み込んで使用できるボード、自動車向けでは、ボードのみならず設計環境からシミュレーション環境までそろえた、システムレベルのサポートを行えるソリューションを指す。
「ユーザーエクスペリエンスの強化」については、エコシステムやソリューションにおいて使い勝手の良さを追求すると強調。ルネサスが2022年9月27日に発表したばかりの新しい統合開発環境が、その一例だ。この開発環境を使うと、複数のデバイスを搭載したECU(電子制御ユニット)レベルのソフトウェア開発を、ハードウェアなしで行える。
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