2022年度(2022年12月期)の業績については、「SAM(Serviceable Available Market)よりも少しだけ早く売上高を伸ばす、という当初の目標に対し、順調に推移している」(柴田氏)と語った。さらに、2030年に向け「組み込み半導体ソリューションのサプライヤーとしてトップ3位内に入ること」「売上高200億米ドルを大きく超えること」「ルネサスの時価総額を、2022年比で6倍に引き上げること」という3つの目標を述べた。
これらを達成すべく、事業部門間での連携の強化と、デジタライゼーションによるハードウェア売り切り型モデルからの脱却を図る。
事業部門間でのコラボレーションについては、第1弾として、既存の製品を互いの顧客に営業、販売する取り組みを開始した。2023年以降は、より付加価値を高めた製品のクロスセルを強化する。「例えば、IoT・インフラ事業部門の製品を、車載規格に準拠させ、オートモーティブソリューション事業部門の顧客に販売するといった方法が挙げられる」(柴田氏)。最終的には、設計の段階からコラボレーションできるようにすることを目指す。
業績については、ルネサスの執行役員兼CFO(最高財務責任者)である新開崇平氏が、詳細を説明した。
同氏はロングタームでの売上高成長について、自動車分野ではADAS(先進運転支援システム)とxEVが、産業/インフラ/IoT分野ではIoTが、特に大きくSAMを超えると予測した。
設備投資額は、2022年は甲府工場再開など増産への投資で大きく膨らむが、2023年以降は売上高の5%前後を投入する形で落ち着く見込みだと語った。
新開氏によれば、増産投資の結果、「自社工場の生産能力は枚数ベースで約2割向上する見込み」だという。特に、甲府工場の再開によりIGBTおよびパワーMOSの生産量が増加する。さらに、「買収完了後5年でようやく旧Intersilの製品をクロス生産することが可能になった」(同氏)ため、アナログの生産量も増える見込みだ。
併せてルネサスは、地震などの災害も含め、さまざまな事態を想定し、生産のレジリエンスを高める取り組みも行っていると語った。
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