ロームは、消費電力が数十ミリワットと極めて小さく、エッジ側で「学習」と「推論」の両方を行うことができる「オンデバイス学習AIチップ」を開発した。クラウドサーバとの連係がなくても、エッジ側だけでリアルタイムに故障予知を行うことができるという。
ロームは2022年9月、消費電力が数十ミリワットと極めて小さく、エッジ側で「学習」と「推論」の両方を行うことができる「オンデバイス学習AIチップ」を開発したと発表した。クラウドサーバとの連係がなくても、エッジ側だけでリアルタイムに故障予知を行うことができるという。
開発したオンデバイス学習AIチップは、慶應義塾大学の松谷宏紀教授が開発した「オンデバイス学習アルゴリズム」をベースに、ロームが開発した2万ゲート規模のAIアクセラレーター「AxlCORE-ODL」と、ローム独自の8ビットCPU「tinyMicon MatisseCORE」などを組み合わせた。これによって、学習が可能な従来のAIチップに比べ、1000分の1程度という少ない電力消費で、AIの「学習」と「推論」を実行することが可能になった。
tinyMicon MatisseCOREは、組み込み用途に最適化した命令セットと、コンパイラ技術により、コンパクトなチップサイズとプログラムコードサイズを実現している。また、自動車向け機能安全規格である「ISO26262」の安全要求レベルで、最も厳しい「ASIL-D」に対応するなど、高信頼製品の用途にも適用できるという。
ロームは今後、オンデバイス学習AIチップに内蔵したAIアクセラレーターを、モーターやセンサーの故障予知に用いるICにも組み込んで製品化、2024年には量産を行う予定である。
なお、オンデバイス学習AIチップの評価用として、マイコンボード「Arduino」用拡張基板を装着できる評価ボードを用意した。これには無線通信モジュール(Wi-FiとBluetooth)や64kビットEEPROMが実装されている。評価ボードにセンサーなどのユニットを接続すれば、オンデバイス学習AIチップの効果を容易に確認することができるという。
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