浜松ホトニクス、産業用LiDAR向けAPDアレイ開発:調整用のマイコンなどが不要に
浜松ホトニクスは、セルフバイアスジェネレータ一(SBG)を一体化した16チャネルのアバランシェフォトダイオード(APD)アレイ「S16430-01CR」を開発した。調整用のマイコンや温度センサーを必要としないため、産業用LiDARモジュールの低コスト化が可能となるという。
浜松ホトニクスは2022年10月、セルフバイアスジェネレータ一(SBG)を一体化した16チャンネルのアバランシェフォトダイオード(APD)アレイ「S16430-01CR」を開発したと発表した。調整用のマイコンや温度センサーを必要としないため、産業用LiDARモジュールの低コスト化が可能になるという。
S16430-01CRの外観 出所:浜松ホトニクス
APDアレイは、電圧を印加すると光信号が増倍されるAPDを同一チップ上に複数チャネル配列した光センサー。より微弱な光を高い感度で検出し、遠くにある物体までの距離を測定できる。ただ、温度変化に応じて光信号の増倍率を調整するために、マイコンや温度センサーなどを組み合わせて用いる必要があった。
S16430-01CRは、光信号の増倍率を固定できるSBGを半導体基板上に形成する技術を用い、APDアレイと一体化した。これによって、SBGに定電流源回路を接続するだけで増倍率を固定することが可能になり、マイコンなどが不要になった。信号処理回路のトランスインピーダンスアンプ(TIA)も同一パッケージに内蔵した。新たに開発したTIAは、出力信号の揺らぎを抑制し、応答速度も従来のTIA内蔵型APDアレイに比べ3倍まで高めた。光パルス幅1ナノ秒に追従できるという。誤検出の原因となるクロストークの発生も抑えた。
上図はS16430-01CRの主な仕様、下図は応用イメージ 出所:浜松ホトニクス
S16430-01CRは、LiDARモジュールメーカーに対し、2022年10月末からサンプル品の供給を始める。量産開始は2023年4月を予定。販売台数は初年度に月間1万個、3年後には月間5万個を計画している。
- 名古屋大、GaN基板レーザースライス技術を開発
名古屋大学は、GaN(窒化ガリウム)基板の切り出しを「少ないロス」で「短時間に行う」ことができるレーザースライス技術を、浜松ホトニクスと共同で開発した。GaNデバイスのコスト削減につながる技術として注目される。
- 浜松ホトニクス、高出力CWレーザー装置用SLMを開発
浜松ホトニクスは、高出力の産業用連続発振(CW)レーザー装置に向けた、液晶型の空間光制御デバイス(SLM)を開発した。有効エリアを従来の約4倍とし、耐熱性も高めた。金属3Dプリンタへの応用などを視野に入れている。
- 浜松ホトニクス、指先サイズの波長掃引QCLを開発
浜松ホトニクスは、指先サイズの波長掃引量子カスケードレーザー(QCL)を開発した。従来製品の約150分の1という小ささである。産業技術総合研究所(産総研)が開発した駆動システムと組み合わせ、火山ガスの成分などをリアルタイムに観測できる可搬型分析装置の実現を目指す。
- 安全性と低コストを両立、ソフトウェア定義可能なLiDAR
先進運転支援システム(ADAS)やさまざまなレベルの自動運転などのソリューションは、現在多くの車両で利用可能だが、高精度で価格競争力のある高度なセンサーが必要である。本記事では、高精度とカスタマイズ可能なソフトウェアコンポーネントを特徴とし、価格競争力もあるPreAct TechnologiesのLiDARセンサーを紹介する。
- スキャンパターンを瞬時に切り替えるLiDAR
LiDARの新興企業である米AEye(エーアイ)が、日本市場に本腰を入れようとしている。同社は、CTO(最高技術責任者)であるLuis Dussan氏により2013年に設立された企業で、カリフォルニア州に本拠地を置き、日本、ドイツ、韓国に営業拠点を持つ。日本支社はちょうど1年前となる2021年7月に設立された。【訂正あり】
- 手のひらサイズで計測距離300mの「LiDAR」を開発
東芝は、大きさが手のひらサイズで最長300mの距離計測を可能にする「LiDAR」を開発した。投光器を小型にできる「モジュール実装技術」および、全ての投光器を同じ向きにそろえる「モーター制御技術」を新たに開発することで実現した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.