同社は2021年、Vision2030と中期方針2024を発表しており、2024年度までに売上高2兆円、営業利益率20%以上、ROIC(投下資本利益率、Return on Invested Capital)20%以上の達成を目指す目標を掲げている。今回、中島氏はその進捗状況に言及。同社の2022年度業績予想では、売上高が前年比横ばい、営業利益は円安による増益効果はあるものの操業度が大きく低下することから前期比で減益となる見通しになっている。特にROICについては、前年度比3.9ポイント減の18.7%と20%を下回り「目標達成に向けて利益率向上と資本効率向上に取り組む必要がある」と述べた。なお、3年間で計2300億円を投じるという戦略投資計画については、「大きな案件は実績としてまだ出ていないが、方針に変更はない」としている。
中島氏は今回、中期経営課題のうち、「3層ポートフォリオ経営の高度化」について詳細を語った。
まず、1層目では需要の成長に追随した生産能力増強や、技術的な限界を破って実現するカッティングエッジの技術強化、そして事業効率の向上を進めていく方針だ。
同社は、車載MLCC市場について、自動車の電装化進展のトレンドから2025年度までCAGR(年平均成長率)8%の成長を見込んでいる(高容量品はさらに高い成長を予測)。インダクター/EMIフィルター市場も2025年度までCAGR7%の成長を予測。中島氏は「この機会に向けた投資は2017年度から継続的に実施しており、伸びゆく市場に対していち早くチャンスをつかむことができると考えている」と語った。
なお、生産拠点を置く地域に関しては、「海外生産のメリットは、顧客がそこに居るケースが多い場合の他、優秀で豊富な労働力が確保できるということに尽きる。一方、開発機能のほとんどは国内に置いており、立ち上げロス回避や、継続した品質向上やコストダウンなどを図る目的では日本での生産というのが適している」などと説明。その上で、米中関係の悪化による地政学リスクについて触れ、「中国で完結するサプライチェーンは実現できていないが、米中デカップリングの最悪のケースは常に想定し、それができるように持っていこうとしている」などと述べていた。
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