東北大、硫化スズを用いて高効率太陽電池を開発へ:SnSのバンドが1eVも曲がる
東北大学多元物質科学研究所の鈴木一誓助教らによる研究グループは2022年12月、硫化スズ(SnS)を用いて、高効率の太陽電池が開発できることを実証した。今回の成果はSnS太陽電池から0.7〜0.8Vの開放電圧が得られる可能性を示すものだという。
東北大学多元物質科学研究所の鈴木一誓助教らによる研究グループは2022年12月、硫化スズ(SnS)を用いて、高効率の太陽電池が開発できることを実証した。今回の成果はSnS太陽電池から0.7〜0.8Vの開放電圧が得られる可能性を示すものだという。
SnSは光を強く吸収することから、薄膜太陽電池の材料として期待され、長年研究が続けられてきた。しかし、SnSのバンドがほとんど曲がらないため開放電圧が低く、その変換効率は最高でも約5%にとどまっていた。
研究グループは今回、n型SnS単結晶の上に酸化モリブデン薄膜を堆積した。そして、光電子分光(XPS)法を用い、この試作品の界面における電子状態を観察した。この結果、界面近傍でSnSのバンドが1eV(従来は約0.2eV)も曲がることが分かった。従来のSnS太陽電池では開放電圧が0.3V程度であったが、今回の結果は、0.7〜0.8Vという大きな開放電圧が得られる可能性があることを示したものだという。
さらに、太陽電池に適したSnS界面を実現するには、SnS薄膜中の硫黄欠損を抑制したり、太陽電池のp型層およびn型層のどちらにもSnSを用いたホモ接合構造を採用したりすることが、極めて有効であることも提案した。
左はSnS単結晶/MoO3薄膜の界面模式図、中央は光電子分光測定中の試作品、右はSnSのバンドが大きく曲がった模式図(クリックで拡大) 出所:東北大学
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