矢野経済研究所の調査によれば、ファウンドリーを除いたMEMSデバイスの世界市場規模は、2025年に約2兆円の市場規模となる見通しだ。
矢野経済研究所は2023年1月、MEMS技術やMEMSデバイス世界市場を調査し、ファウンドリーを除いたMEMSデバイスの世界市場規模について、2025年までの予測を発表した。2025年には約2兆円の市場規模となる見通しだ。
今回の調査は、MEMS技術を用いた高周波(RF)デバイスや圧力センサー、マイクロフォン、加速度センサー、デジタルミラーデバイスなどを対象にした。MEMSデバイスの製造を行うのは主にIDMとファウンドリーだが、今回はIDMのみを対象とした。調査期間は2022年4〜10月。
2022年のMEMSデバイス世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、1兆5205億円を見込む。このうち国内市場は2033億円を見込んでいる。世界市場における製品別の構成比では、スマートフォンの無線通信部で用いる「高周波デバイス」が、全体の23.9%を占め最も大きい。これに続くのが、自動車のエンジンや血圧計、気圧計などに用いる「圧力センサー」でその構成比は13.9%。電子機器用「小型マイクロフォン」は10.5%となっている。
MEMSデバイスは、高周波デバイスなどの他、プリンターのインクジェットノズルや自動車のエアバッグ、スマートフォンやゲーム機などに用いる加速度センサーなど、その用途は幅広い。このため、今後の市場予測においても、2020年から2025年までのCAGR(年平均成長率)は10.2%となり、2025年には2兆360億円の規模に拡大すると予測した。このうち、国内市場は2620億円と見ている。
今回の報告書では、注目製品として「マイクロ流体デバイスによって方向制御されたナノファイバー」を紹介している。繊維状の細長い構造体(ナノファイバー)を束ねた「ヒモ」状の材料は、軽量で頑丈な工業製品や人工生体組織を作製する分野で、活用研究が進む。ナノファイバー束ねた「ヒモ」で、電気伝導度の異方性を約30倍変化させることに成功した事例もあるという。
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