この孤独問題が、シャレにならないくらいの規模で深刻な状況になっている国が、政府のレベルで動き出しています。
日本人の”孤独”の状況については、岡本純子さんの著書「世界一孤独な日本のおじさん」をお勧めいたします。
私がこの本を読んで衝撃を受けたのは、この本に記載されている内容が、「30年前の状況と1mmも違わず、そっくりそのまま」であるということでした。
私の大学在学中でさえ、『退職後、生きがいを失い、2〜3年ですぐに死んでしまうサラリーマン』の話は、その辺にゴロゴロ落ちていました。そして、私たちは、そんな人たちのことを知って、『そんな人生だけはゴメンだ』と思ったものです。
会社のためでもなく、家族のためでもなく、自分のために生きる人生 ―― これを見失ったら、エラいことになる、ということを、私たちはリアルに理解していました。
このような「(自分以外の)○○のために生きる」という人生観は、例えば、戦後の高度成長経済のレジームの中で、仕方なく構築されたものである、と思っていましたが ―― しかし、今の私たちは、その言い訳を使うことができません。私たちは、戦争経験者でもなければ、高度経済成長期の恩恵も受けていないのですから。
つまり、戦後レジームもなく、高度経済成長もなく、さらに過去の「自分以外の何かのために生きる」という人生の悲惨な事例を十分に知った上で、「私たちは、この30年間、1mmも状況を改善し得なかった」のです。
なにしろ、政府が、孤独・孤立対策担当大臣を設置しなければならないほどの悲惨な状況です。はっきり言って「私たちって、バカなの?」と自覚しなければならないほどです。
ですが、そういう私も、将来確実にやってくる”孤独”、”孤立”に対して、全く準備をしていません。正直ヤバイと思っています。なぜなら、「世界一孤独な日本のおじさん」のほとんどは、全員『自分だけは大丈夫だ』と思っていたに違いないからです。
ただ、私は、心の準備だけはしています。
それは「目下の生意気で不愉快な人間に対しても、頭を下げ、分からないことに対して、正直に「分からない」と言い、最大の敬意を払い、謙虚さを持って教えを請うことができるシニア」になること、です(関連記事:「デジタル時代の敬老精神 〜シニア活用の心構えとは」)。
そして今、私は、「若い学生たちに対して、最大の敬意を発揮して教えを乞う」という実践を、某大学にて絶賛実施中です。
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