低い低周波ノイズを実現、ADIの「Silent Switcher 3」:ノイズ抑制を「音」で示すデモも(2/3 ページ)
Silent Switcher 3は、これらの技術をベースにして開発した技術で、10Hz〜100kHzの低周波におけるノイズ性能の改善と、高速な過渡応答を実現した。一例として、Silent Switcher 3の品種である「LT8622S」は、10Hz〜100kHzにおけるノイズが4μVRMSで、10kHzにおけるノイズが4nV/Hzとなっている。「これは、アナログ・デバイセズが提供する超低ノイズのLDO『LT3045』に迫るレベルだ。LT3045は負荷が500mAと小さいので、LDOの使用が現実的ではない大電流の要求に応えられる低ノイズの電源を、Silent Switcher 3であれば実現できる」(藤田氏)。ただし、低周波ノイズを改善した技術については「LT3045で用いている技術を、Silent Switcher 3に適用した」と述べるにとどめ、詳細は明かさなかった。
左=超低ノイズのLDO「LT3045」とのノイズ性能の比較。「そもそも、スイッチングレギュレーターで、ノイズ性能をうたえるものはなかった」と藤田氏は説明した/右=低周波数帯におけるノイズ性能の比較[クリックで拡大] 出所:アナログ・デバイセズ
システムレベルにおけるSilent Switcher 3の効果。図版下のグラフは、12ビットA-Dコンバーターのクロック品質を示したもの。上図左の「従来のソリューション」は、従来の降圧DC-DCコンバーター+低ノイズLDOで構成し、A-Dコンバーターに電源を供給している。「Silent Switcher 3ソリューション」は、Silent Switcher 3から直接、A-Dコンバーターに電源を供給している。Silent Switcher 3ソリューションでは、LDOを用いていないにもかかわらず、従来のソリューションと同等レベルの低ノイズを実現している。さらに、最大効率が高くなっているので発熱も抑えられていることが分かる[クリックで拡大] 出所:アナログ・デバイセズ
過渡応答については、5マイクロ秒以下を実現。出力リップルも低く抑えていることから、RFトランシーバーに用いる電源に求められる要求をクリアしているとした。
Silent Switcher 3は高速な過渡応答を実現している[クリックで拡大] 出所:アナログ・デバイセズ
なお藤田氏はSilent Switcher 3について、「スイッチング電源とLDOで構成されるデバイスではなく、あくまでスイッチング電源のみで構成されているもの」と強調した。
Silent Switcher 3は、主に基地局などの通信機器をターゲットアプリケーションとする。
左=Silent Switcher 3のポートフォリオ。現在、入力電圧は18Vとなっている。2023年は出力電流が2A、4Aと低い品種をリリースした/右=Silent Switcherの製品ファミリー[クリックで拡大] 出所:アナログ・デバイセズ
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