STM32C0シリーズは、主に家電などで多く使われている8ビットマイコンからの置き換えを狙う製品。Arm Cortex-M0+(最大動作周波数は48MHz)コアを搭載し、2〜3.6Vの電源電圧に対応する。
8ビットマイコンは一定のニーズがあることから、STMicroelectronicsは、STM32とともに8ビットマイコンも提供してきた。STM32C0シリーズは同社の90nm世代のプロセスを適用していることから、「8ビットマイコンのコストで32ビットマイコンを製造できるところまで、コストを最適化できるようになった」と石川氏は述べる。「そのため、コストの問題で8ビットマイコンから置き換えが進んでいない分野にも提案できるようになり、ユーザー層を広げられる。ユーザー側にとっては、32ビットマイコンに置き換えることで、ソフトウェアの流用など開発効率を向上できるという利点がある」(同氏)。なお、同氏によれば、STMicroelectronicsは今後も8ビットマイコンの提供は継続するという。
STM32U5シリーズは、性能を高めつつ電力消費量を削減したもの。Arm Cortex-M33をベースに各種ペリフェラルを搭載した。2.5次元グラフィックアクセラレーターを搭載することで、通常の汎用マイコンよりも、よりスムーズに描画できる。内蔵フラッシュメモリも512Kバイト〜最大4Mバイトと、多様なアプリケーションに対応できるようになっている。
石川氏はSTM32ファミリーにおけるマイコンとプロセッサのすみ分けについて、「マイコンは基本的にCortex-Mコアを搭載し、プロセッサはCortex-Aコアを搭載していることが、技術的な違いとして挙げられる。さらに、マイコンはリアルタイム制御が必要な用途向けで、プロセッサは、リアルタイム性はそれほど必要ないが、複数のアプリを動かすといったような、より複雑な処理を必要とする用途がターゲットになる」と説明した。
OmdiaやWSTS(世界半導体統計)の調査によると、STMicroelectronicsは2021年、8ビット/16ビット/32ビットを含めた汎用マイコン(=車載マイコンおよびセキュアマイコン以外のマイコン)の世界市場において首位を獲得している。石川氏は「当社は汎用マイコンの世界市場で、M&Aなどではないオーガニックな成長でシェアを拡大してきた」と語った。
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