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TECHNO-FRONTIER 2022/INDUSTRY-FRONTIER 2022 特集

GaN+制御IC搭載チップ、ToF測距センサーなどを展示STマイクロエレクトロニクス

STマイクロエレクトロニクス(以下、STマイクロ)は「TECHNO-FRONTIER 2022」(2022年7月20〜22日/東京ビッグサイト)で、GaNソリューションやToF(Time of Flight)センサー、ワイヤレス充電ソリューションなどの新製品を展示した。

» 2022年07月29日 13時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 STマイクロエレクトロニクス(以下、STマイクロ)は「TECHNO-FRONTIER 2022」(2022年7月20〜22日/東京ビッグサイト)で、GaNソリューションやToF(Time of Flight)センサー、ワイヤレス充電ソリューションなどの新製品を展示した。

GaN HEMTと制御ICを1パッケージに搭載

 GaNコンバーター「VIPerGaN50」は2022年4月に発表したばかりの製品だ。耐圧650VのGaNパワートランジスタ(GaN HEMT)とPWM(パルス幅変調)コントローラーを、5×6mmのQFNパッケージに集積したコンバーターで、出力が最大50Wの急速充電器やACアダプター、電源などの小型化、設計簡略化に貢献する。STマイクロの説明担当者は「一般的に50Wクラスの出力だとヒートシンクが必要になる。VIPerGaN50は放熱特性にも優れているのでヒートシンクは不要だ。FR-4の4層基板を使った高密度実装などにも対応できる」と説明する。

 ブースでは、VIPerGaN50を搭載したボードと、従来のSi MOSFETと制御ICを搭載したボードを用意し、ボードのサイズと、効率を比較するために入力電力を比べるデモを行った。

左=デモの様子。「VIPerGaN50」を搭載したボードと、Si-MOSFETを搭載したボードを並べている。VIPerGaN50搭載ボードは、体積で約50%小型化している/右=VIPerGaN50搭載ボードの入力電力は50.23Wで、Si MOSFET+制御IC搭載ボードの入力電力は50.73W。VIPerGaN50搭載ボードの方が0.5W高く、その分、効率が良いということになる[クリックで拡大]
左=VIPerGaN50搭載したボード/右=ボードの裏側。赤い枠がVIPERGAN50[クリックで拡大]

マルチゾーンに対応したToF測距センサー

 ToF測距センサー「VL53L5CX」は、2021年9月に発表した製品。最大4mまでの距離を測定でき、対角63度の視野角を持つ。最大8×8のマルチゾーンに対応していて、各ゾーンでターゲット検出と距離測定が行える。ブースでは、この特長を生かしてハンドジェスチャーを検出するデモを行った。

左=ToF測距センサー「VL53L5CX」を搭載した拡張ボード「X-NUCLEO-53L5A1」。同ボードを使ってデモを行った/中央=8×8のマルチゾーンに対応している様子をモニターに示した/右=数値はセンサーからの距離を示している。おおよその形が分かるので、それをハンドジェスチャー検出に使う。画面右下には、ジェスチャーの検出結果(手のひらでスワイプするアイコン)が表示されている。デモでは、実際にスワイプする動作を行ったので、正しく検出されている[クリックで拡大]

 STマイクロは、このようなジェスチャー検知ソリューションに向けたソフトウェアも提供している。「ジェスチャーによる機器の操作や、ロボット掃除機の測距機能などの用途を想定している。ToFセンサーは暗い所に強いので、その特長を生かしたアプリケーションも考えられる」(STマイクロ)

ワイヤレス充電ソリューション

 ワイヤレス充電ソリューションも展示した。ワイヤレス充電IC「STWLC98」は2021年9月に発表した製品で、Qi EPP 1.3に準拠する。同社のワイヤレス給電デジタルコントローラーIC「STWBC2-HP」と組み合わせることで最大受電70W/送電15Wのシステムを実現できる。「送電、受電の両方のソリューションを持っているのが当社の特長だ」とSTマイクロは説明する。

 STWLC98は、STマイクロ独自のARC(Adaptive Rectifier Configuration)モードを備えている。ARCモードをオンにすると、トランスミッターの表面全体を充電エリアとして使用できるようになる。そのため、充電時のセンタリングの位置が多少ずれても問題なく充電できるので、設計の自由度が上がる。

 この他、PCベースのツール「ST Wireless Power Studio」を無償で提供している。これを使えば、ワイヤレス充電ソリューションの設計期間を短縮できる他、FOD(異物検出機能)のチューニングなども行える。

左=充電ソリューションのデモの様子3L5A1」/右=「ST Wireless Power Studio」の画面[クリックで拡大]

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