STマイクロエレクトロニクスは2023年3月9日、都内で説明会を開催し、同社の「STM32」ファミリーの新製品5種類を紹介した。
STMicroelectronicsは2023年3月9日(スイス時間)、同社の32ビットマイコン/プロセッサのファミリーである「STM32」の最新プロセッサとして「STM32MP13シリーズ」を発表した。それに併せて、同社の日本法人であるSTマイクロエレクトロニクスは3月9日、都内で説明会を開催。STM32MP13シリーズに加え、STM32マイコンの4つの新製品について解説した。
STM32は主にマイコンで構成されてきたが、2019年に初のプロセッサ「STM32MP15x」が発表された。STマイクロエレクトロニクス マイクロコントローラ&デジタルICグループの石川義章氏は、「プロセッサの投入により、マイコンだけでは獲得できなかった顧客や市場を開拓していく。コスト要求の厳しいマイコン市場で勝負してきた経験を生かし、性能だけでなく、コスト面でも付加価値の高いプロセッサを提供できると確信している」と語る。
ミッドレンジのSTM32MP15xに続く2つ目のプロセッサとなるSTM32MP13シリーズは、シングルコアのエントリーレベルの製品だ。産業オートメーションや通信機器などの用途に向けて、コストと消費電力、性能が最適化されたシリーズである。
Arm Cortex-A7(最大動作周波数は1GHz)をアプリケーションプロセッサコアとして搭載し、STM32マイコンで採用されている周辺回路と低消費電力技術、セキュリティ機能も集積している。石川氏は「コストパフォーマンスを優先してCortex-A7を選択した」と述べる。さらに、「産業機器でのニーズが高い」(石川氏)ことから、ギガビットイーサネットポートも2チャンネル搭載した。
その他、STM32のマイコンも4製品を発表した。Bluetooth Low Energy(BLE) 5.3に対応するワイヤレスマイコン「STM32WBA52」、250MHz動作を実現した「STM32H5シリーズ」、8ビット/16ビットマイコンからの置き換えを狙う「STM32C0シリーズ」、低消費電力が特長の「STM32U5シリーズ」である。プロセッサのSTM32MP13シリーズを含め、全てSTMicroelectronicsが2023年第1四半期に発表した製品だ。
STM32WBA52は、最大100MHzで動作するArm Cortex-M33を採用。高度なセキュリティ機能も搭載している。RF出力は+10dBmとなっている。
STM32H5シリーズは、同じくArm Cortex-M33を搭載。最大で375DMIPSの性能を実現し、業界標準のEEMBC CoreMarkにおいて1023スコアを獲得している。同製品も、高いセキュリティ機能を搭載していて、石川氏は「当社では汎用マイコンに高度なセキュリティ機能を搭載していく方針で、STM32H5シリーズはその一例である」と説明した。
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