図2は、2023年3月にリリースが始まったZUIKI(瑞起)の「X68000 Z」の外観とメイン基板である。X68000は1987年にシャープが発売したパーソナルワークステーションだ。X68000 Zは、同じ形状を小型化した復刻版製品である。付属されるマウスやキーボードはオリジナルと同サイズとなっている。
内部にはZUIKIのプロセッサ「Z7213」が採用されている。プロセッサを冷却するためのヒートシンクにもZ7213の文字が刻印されていて、分解されることを前提とはしていないだろうが、見えないところにも手の込んだ演出が成されている!
任天堂は2016年、ファミリーコンピュータの復刻版を発売した。それを皮切りに、セガやコナミなどからも昔のゲームの復刻モデルが発売された。その中から、X68000 Zも含め、ZUIKIのZ7213が採用された製品を表4にまとめている。これを見れば分かるように、ハードウェア的には、ほぼ同じだ。差はDRAMのサプライヤーが異なっている程度である。
図3左は、2016年発売の任天堂ファミリーコンピュータ復刻版で採用された中国Allwinnerのプロセッサ「R16」のチップ開封および配線層剥離、右はX68000 Zで採用されるZUIKI Z7213である。R16とZ7213には、わずかな差(Fuseなどで変更)はあるものと思われるが、ほぼ同一のシリコンである。
図4は、1987年のオリジナルのX68000に採用されたCPU「HD68HC000」と、2023年のX68000Zに採用されたZUIKI Z7213の比較である。半導体業界でキャリアを積んできた筆者にとって、オリジナルチップに関しては語り尽くせぬほどの思いもあるが、ここでは言及しない。復刻版で採用されたチップはあらゆる面で進化が進み、性能面に関しては全くの別物になっていると言ってよい。
2023年も3分の1が経過した。これからも新しいチップが続々と発売されていく。今回のような比較報告は秋口あたりにもまた行いたい。
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