2023年5月12日、東芝の決算が発表されたことで、大手電機メーカー8社の決算が出そろった。各社の決算内容および、2023年度業績見通しについてみていこう。
2023年5月12日、東芝の決算が発表されたことで、大手電機メーカー8社の決算が出そろった。過去最高益を更新した企業もあれば、6年ぶりに赤字決算になった企業もあった。事業分野の違いによって全く異なる傾向が浮き彫りになった決算であった。2023年度の見通しについては慎重な企業が多い。各社はどの分野に注力しようとしているのか、状況を確認してみたいと思う。
日立製作所の2022年度売上高は10兆8811億円(前年比6.0%増)、調整後EBITAが8846億円(同292億円増)、当期純利益6491億円(同657億円増)であった。
デジタルシステム&サービス部門は、為替影響やLumada事業の拡大により増収増益になった。GlobalLogicの大幅増収や高収益の維持によって、同部門に大きく貢献している。グリーンエナジー&モビリティ部門は、為替影響や日立エナジー・鉄道システム部門が堅調で、増収増益であった。コネクティブインダストリーズ部門は、日立ハイテクやビルシステムBUを中心に堅調で増収増益だった。オートモティブシステム部門は、半導体不足やサプライチェーンの混乱もあったが、為替影響や自動車メーカーの生産量回復で増収増益であった。日立建機および日立金属は、株式の売却に伴い、連結上は減収減益要因になっているが、株式売却益の計上もあった。
2023年度の見通しとしては、売上高8兆8000億円(同19.1%減)、調整後EBITAが8350億円(同496億円減)、当期純利益5000億円(同1491億円減)を見込んでいる。減収減益の見通しには連結子会社の売却要因が含まれていることを考えれば、ポジティブに評価できる部分もある。だが、株式市場はネガティブと判断したのか、決算発表後の株価は若干下落した。
東芝の2022年度売上高は3兆3617億円(前年比0.7%増)、営業利益1105億円(同484億円減)、当期純利益1266億円(同681億円減)であった。
エネルギーシステムソリューション部門は、発電システムおよび送変電・配電などともに増収だったが、発電システムに係る製品保証引当金の計上などで減益になった。インフラシステムソリューション部門は、公共インフラの減少を鉄道・産業システムの好調でカバーし、増収増益となった。ビルソリューション部門は、空調事業を連結から除外した影響で、減収減益。リテール&プリンティングソリューション部門は、為替の影響などで増収だったが、のれんの減損などの影響で減益となった。デバイス&ストレージソリューション部門は、半導体が好調だったが、HDD需要が低迷し、部門全体では減収減益だった。デジタルソリューション部門は、官公庁向けの需要増加で増収増益になった。
2023年度の見通しとしては、売上3兆2000億円(同4.8%減)、営業利益1100億円(同5億円減)、当期利益700億円(同566億円減)を見込んでいる。収益の柱として期待されるデバイス&ストレージ部門では、半導体市況が低迷する中で、パワーデバイスを中心に健闘しているが、HDD事業の赤字転落が懸念事項である。今後、非上場化に向けての動きも気になるところで、当面は目が離せない状況下にある。
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