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ソニーと日立が好決算 ―― 電機8社の22年度決算を総括大山聡の業界スコープ(65)(3/4 ページ)

» 2023年05月22日 11時30分 公開

過去最高益を記録した富士通

 富士通の2022年度売上高は3兆7137億円(前年比3.5%増)、営業利益3356億円(同1,164億円増)、当期純利益2151億円(同324億円増)と過去最高益を記録した。

富士通の事業別営業損益[クリックで拡大] 出所:同社決算資料を基にGrossberg作成

 テクノロジーソリューション部門のサービスは、DX(デジタルトランスフォーメーション)ビジネス、モダナイ(稼働しているソフトウェアやハードウェアを、稼働中の資産を生かしながら最新版に置き換えること)が好調で増収増益になった。同部門のシステムプラットフォームは、第5世代移動通信(5G)基地局や北米向け事業が好調で増収増益。同部門の海外リージョンは、サービスビジネスの拡大で増収だったが、M&A関連のコスト増などにより減益になった。ユビキタスソリューション部門は、欧州の市況低迷などにより減収減益となった。デバイスソリューション部門は上期こそ好調だったが、下期に市況が低迷し売り上げ、利益ともにほぼ横ばいだった。

 2023年度の見通しは、売上高3兆8600億円(同3.9%増)、営業利益3400億円(同43億円増)、当期純利益2180億円(同28億円増)を見込んでいる。過去最高益を記録したことも評価されたのか、決算発表後の株価は上昇傾向だった。このレベルに甘んじることなく、日本のIT産業のけん引役としてもっと高みを目指してほしい。

車載電池の競合激化が懸念されるパナソニック

 パナソニックの2022年度売上高は8兆3789億円(前年比13.4%増)、営業利益2886億円(同689億円減)、当期純利益2655億円(同102億円増)であった。

パナソニックの事業別営業損益[クリックで拡大] 出所:同社決算資料を基にGrossberg作成

 くらし事業部門は、欧州空調、国内外の電材、北米ショーケースなどが堅調で増収だったが、国内家電の低迷をカバーできずに減益だった。オートモーティブ部門は、自動車生産が回復して増収増益となった。コネクト部門は、ブルーヨンダーを連結対象にしたことなどで増収だったが、前年度は同社株既存持分の再評価益583億円が計上されていたため、今回はその分が減益になった。インダストリー部門は、半導体事業譲渡に伴う商流変更、原材料の高騰などで減収減益であった。エナジー部門は、車載電池の拡販で増収だったが、原材料の高騰や開発費などの固定費増で減益だった。

 2023年度の見通しは、売上高8兆5000億円(同1.4%増)、営業利益4300億円(同1159億円増)、当期純利益3500億円(同845億円増)を見込んでいる。インダストリー部門は減収減益の見込みだが、それ以外の部門はすべて増収増益を見込んでいる。この見通しを評価されたのか、決算発表後の株価は上昇傾向だった。筆者としては車載電池の競合激化でエナジー部門がかなり厳しい状況にあることに懸念を抱いている。

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