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ソニーと日立が好決算 ―― 電機8社の22年度決算を総括大山聡の業界スコープ(65)(2/4 ページ)

» 2023年05月22日 11時30分 公開

全事業での黒字達成を目指す三菱電機

 三菱電機の2022年度売上高は5兆36億円(前年比11.8%増)、営業利益2623億円(同103億円増)、当期純利益2139億円(同104億円増)であった。

三菱電機の事業別営業損益[クリックで拡大] 出所:同社決算資料を基にGrossberg作成

 インフラ部門は、社会システム、電力システム、防衛・宇宙システム、いずれも増収だったが、売上案件の変動や宇宙システム事業の採算悪化などにより、減益になった。インダストリー・モビリティ部門は、FAシステム、自動車機器、いずれも増収だったが、自動車事業における素材・物流費の上昇や固定資産の減損計上などがあり減益、部門全体でも微減益となった。ライフ部門は、ビルシステム、空調・家電ともに堅調で増収増益になった。ビジネスプラットフォーム部門は、情報システム・サービス、電子デバイス、共に堅調で増収増益であった。

 2023年度の見通しとしては、売上高5兆2000億円(同3.9%増)、営業利益3300億円(同377億円増)、当期純利益2600億円(同461億円増)を見込んでいる。赤字を計上した防衛・宇宙システムと自動車機器が黒字転換見込みで、すべての事業で黒字を計上できそうな点はポジティブに評価したい。決算発表後の株価にも上昇が見られた。

2025年度の会社目標が達成できそうなNEC

 NECの2022年度売上高は3兆3130億円(前年比9.9%増)、調整後営業利益2055億円(同345円増)、調整後当期純利益1386億円(同287億円減)であった。

NECの事業別営業損益[クリックで拡大] 出所:同社決算資料を基にGrossberg作成

 社会公共部門は、中堅・中小企業向けや公共・医療向けが好調で増収増益となった。社会基盤部門は、宇宙・防衛向けが好調で増収増益となった。エンタープライズ部門は、金融・製造・流通サービス向けが好調で増収増益。ネットワークサービス部門は、知財収益100億円の計上などで増収だったが、戦略的な費用計上などで減益となった。グローバル部門は、ソフトウェア関連事業、海洋事業が好調で増収増益だった。

 2023年度の見通しは、売上高3兆3800億円(同2.0%増)、調整後営業利益2200億円(同145億円増)、調整後当期純利益1400億円(同14億円増)を見込んでいる。このままいけば、2025年度に売上高3兆5000億円、調整後営業利益3000億円、調整後当期純利益1850億円という目標が達成できそうな状況だ。決算発表後の株価も大きく上昇している。ただし、中長期的にはもっと高い目標を掲げて突き進んでもらいたい、というのが筆者の本音である。富士通と同様、日本のIT産業のけん引役として、もっと注目を集めるべき存在になってほしいものである。

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