理化学研究所(理研)や九州大学、フィックスターズおよび、富士通の共同研究グループによると、スーパーコンピュータ「富岳」が国際的な性能ランキング「Graph500」の「BFS(幅優先探索)部門」で、世界第1位を獲得した。最高評価を受けるのは7期連続となる。
理化学研究所(理研)や九州大学、フィックスターズおよび、富士通による共同研究グループは2023年5月、スーパーコンピュータ「富岳」が国際的な性能ランキング「Graph500」の「BFS(幅優先探索)部門」で、世界第1位を獲得したと発表した。最高評価を受けるのは7期連続となる。
「Graph500」は、大規模グラフ解析に関するスパコンの性能ランキングである。頂点間の枝の長さが同じグラフを扱うBFS部門と、頂点間の枝の長さが異なるグラフを扱う「SSSP(単一始点最短路)部門」があり、単位時間当たりの処理数でランキングを決める。今回の結果は、ドイツの「コングレス・センター・ハンブルク」およびオンラインで開催されたHPCの国際会議「ISC2023」で、現地時間5月22日に発表された。
共同研究グループは今回、富岳の15万2064ノード(全体の約95.7%)を用いて、約4.4兆個の頂点と70.4兆個の枝から構成される超大規模グラフに対するBFS問題を、平均0.51秒で解いた。Graph500のスコアは13万7096ギガTEPSとなった。2022年11月に行われた前回の性能を約33%上回ったという。
共同研究グループは、スパコン上で大規模なグラフを高速に解析できるソフトウェアの開発も行っている。例えば、「複数のノード間におけるグラフデータの効率的な分割方法」や、「冗長なグラフ探索を削減するアルゴリズム」「スパコンの大規模ネットワークにおける通信性能の最適化」および、「アルゴリズムの最適なパラメータを実行時に自動探索する機構」などである。これらの技術を組み合わせることで、世界最高レベルの性能を持つグラフ探索用ソフトウェアを開発した。
東工大、スパコン「TSUBAME4.0」が2024年春に稼働
富士通と東京工業大学、「協働研究拠点」を設置
Arm Neoverse搭載のプロセッサ、製品化進む
富士通、36量子ビット量子シミュレーターを開発
富岳、機械学習処理能力でも世界1位を獲得
理研ら、機械学習法で「量子スピン液体」を解明Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング