OMDIAは、2023年の半導体市場は前年比7.5%減のマイナス成長になると予想した。電子機器市場は同1.1%のプラス成長、スマートフォン市場は2023年前半まで厳しい状況が継続するも、2023年後半から急回復する見込みだ。
OMDIAは2023年5月22日、都内でメディア向けのラウンドテーブルを開催し、半導体市場やスマートフォン関連市場の予測などを解説した。
半導体市場の売上高は、前年比7.5%減の5512億6800万米ドルと予想した。OMDIA コンサルティングディレクターの杉山和弘氏は、「インフレやロシアのウクライナ侵攻、米中対立の影響による経済不安や、半導体の在庫消化による需要減などの影響だ。マイナス成長は、インフレが落ち着くまでの間、恐らく2023年末から2024年3月ごろまで続くだろう。正直、2023年は我慢の年になるだろう」と語った。
分野別では、PCやスマホ、民生機器向けの需要が落ち込む見込みだ。一方で、EV(電気自動車)や再生可能エネルギーなどのカーボンニュートラル関連は好調だと予測した。
自動車向け半導体の需要増について、同氏は「自動車の電動化が進むにつれ、1台のクルマに搭載される半導体の量が増えている。例えば、ガソリン車で使われている半導体は、約500米ドル分だが、EVでは3倍に当たる約1500米ドル分の半導体が使われている」と説明した。また、自動車向け半導体の供給体制については「アナログ半導体やパワー半導体など、半導体メーカーが(自社工場で)生産しているものは現在も不足している。一方、TSMCやSamsung Electronicsなどでの受託生産がメインの車載半導体は、おおむね回復していると見ている」(同氏)と続けた。
スマホの生産量は、2023年の第1四半期(1〜3月)/第2四半期(4〜6月)共に前年同期比8%減のマイナス成長となる見込みだ。杉山氏は「スマホ市場は、コロナ禍の巣ごもり需要の反動などにより需要/販売数が減少している。2023年のスマホ生産数予測は、2022年のスマホ生産数が当初の予想よりも厳しい結果だったため下方修正した。2023年前半は厳しい状況が続くものの、第3四半期(7〜9月)以降は、新製品の発表や買い替え需要により急回復し、第4四半期には前年同期比でプラス成長になる見込みだ」と説明した。スマホ向け半導体市場についても、スマホ市場と同様に2023年第3四半期以降の回復を見込んでいる。
電子機器市場の売上高は、前年比1.1%増の2兆6203億700万億米ドルと予想した。杉山氏は、「(半導体市場の動向に同じく、)経済不安や世界情勢などの影響で市場が停滞する予測だ。一方で、通信インフラ、車載市場は、2022年に引き続きプラス成長になり、トータルでは微増になるだろう」と述べた。
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