東京大学は、3種類の重い元素で構成される物質「La2IOs2」を合成し、これが12K(−261.15℃)以下の温度で、電気抵抗がゼロとなる超伝導状態になることを発見した。
東京大学は2023年6月、3種類の重い元素で構成される物質「La2IOs2」を合成し、これが12K(−261.15℃)以下の温度で、電気抵抗がゼロとなる超伝導状態になることを発見した。
超伝導状態は一般的に、水素など軽い元素を含む物質で実現しやすいといわれてきた。重い元素のみで構成される物質において、10Kを超える温度で超伝導状態になることは、極めて珍しいという。
こうした中で、ランタン(La)、ヨウ素(I)、オスミウム(Os)からなるLa2IOs2は、10テスラを超えるような強い磁場環境でも超伝導が生き残り、超伝導に前駆する相転移が存在するなど、一般的な超伝導物質とは異なる性質があることを発見した。
特異な超伝導状態を示す要因として研究グループは、「元素が重くなるにつれて強くなる、スピン軌道相互作用という相対論的効果が重要な役割を果たしている」と分析する。また、グラフェンと類似したハニカム格子を形成する「オスミウム」が、負の電荷をもつアニオン的な状態を持つことも分かった。
東京大学はリリースで「本発見を契機に、重い遷移金属元素に特有な物理的・化学的性質を活用した新しい超伝導物質や材料の開発が進むと期待される」とコメントしている。
今回の研究成果は、東京大学物性研究所の石川孟助教、矢島健助教(現在は名古屋大学准教授)、浜根大輔技術職員、今城周作特任助教、金道浩一教授、河村光晶助教(現在は東京大学情報基盤センターの特任講師)らによるものである。
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