九州大学先進電気推進飛行体研究センターは、電動航空機に向けた400kW級全超電導モーターを開発、回転試験に成功した。将来の「空飛ぶクルマ」に適用することも視野に入れている。
九州大学先進電気推進飛行体研究センターは2023年6月、電動航空機に向けた400kW級全超電導モーターを開発、回転試験に成功したと発表した。将来の「空飛ぶクルマ」に適用することも視野に入れている。
航空機業界は、2050年までにCO2排出量実質ゼロという目標に向けて、「次世代航空機」の開発を進めている。例えば、ガスタービンと発電機を用いて発電した電力でモーターを駆動し、ファンを回して推進力を得る航空機などである。
開発グループは、次世代航空機の実現に向けて、経済産業省が主導する「NEDOプロジェクト」を受託。超電導技術を用い、高効率で高出力の「電動推進システム」を開発してきた。超電導モーターにすることで、従来のモーターと大きさが同じであれば、重さが10分の1、出力は2倍にできるという。ただ、交流運転下で発生する交流損失が課題となっていた。
今回は、これまで取り組んできた「超電導線における交流損失の予測、低減および、大電流容量化技術」を活用して、回転機の界磁巻線だけでなく、電機子巻線を含む全てを超電導化した「全超電導モーター」を開発した。液体窒素をポンプで循環させる冷却システムと、開発したモーターを組み合わせたシステムを用い、回転試験に成功したという。
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