ディスコは、GaN(窒化ガリウム)ウエハー生産に最適化した「KABRAプロセス」を開発した。直径2インチインゴッドを加工した場合、従来プロセスに比べ取り枚数は約1.4倍に増え、素材ロスは4分の1に減少するという。
ディスコは2023年7月、GaN(窒化ガリウム)ウエハー生産に最適化した「KABRAプロセス」を開発したと発表した。直径2インチインゴッドを加工した場合、従来プロセスに比べ取り枚数は約1.4倍に増え、素材ロスは4分の1に減少するという。
GaNインゴットをウエハー状にスライスする方法はこれまで、ダイヤモンドワイヤソーが主流であった。ところがこの方法だと、加工時間や切断部分の材料損失、表面平たん化に向けた研磨時の材料損失など、コスト高につながるいくつかの課題があった。
ディスコはこれまで、SiC(炭化ケイ素)ウエハー生産に向けて、レーザー加工によるインゴットスライス手法「KABRA」を開発し、装置を提供してきた。このKABRAプロセスをGaNにも適用できるよう開発を進めてきた。
GaNインゴッドのスライスに適したKABRAプロセスは、レーザー焦点の位置をリアルタイムに制御できるため、厚みにばらつきのないスライスが可能である。ラップ工程も不要にした。また、ステージ走査距離が短く、KABRA層を効率的に形成できる。ウエハー割れも抑制できるという。
具体的に、直径2インチで厚さ5mmのGaNインゴッドから、指定厚400μmのウエハーを生産する場合、KABRAプロセスを用いると、11枚のウエハーを取ることができる。従来プロセスだと8枚となる。1時間当たりのウエハー生産枚数も、KABRAプロセスの6枚に対し、従来プロセスでは1枚である。
ディスコは、本社R&Dセンターでテストカットや有償加工を受け付けている。
“他にないスライス技術”がSiCの生産効率を4倍へ
横浜国大ら、新たな半導体チップ集積技術を開発
ディスコは22年度も増収増益、3年連続で過去最高更新
ディスコが過去最高出荷額を更新、パワー向けが好調
次世代半導体実装技術、「JOINT2」が現状の成果を展示
ディスコが四半期最高益を更新、パワー半導体需要強くCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング