地域別での半導体消費量(メーカーの半導体購入量)は、米国が全世界の約40%を占める。続く2位の中国が20%前後、3位の日本が10%強だ。杉山氏は米国について「ドルが強いことから米国の消費はそこまで冷え込んでいない」とし、PCやデータセンター用途がけん引して2023年もプラス成長を維持すると予測した。中国の消費量は2022年比でマイナス成長になる見込みだが、スマホ需要は旺盛だという。日本は2022年から既に消費量の低下が始まっていたが、2023年もさらに低下する見込み。需要が高いのは車載用途や産業用だという。
成長が見込まれるデータセンター向けサーバ市場では、出荷先は米国が最も多く、アジア太平洋地域が続く。地域別の拠点サイズ規模でも米国が圧倒的で、次いで規模が大きいのは中国だという。杉山氏は「データセンター向けサーバ市場でもやはり米国と中国は大きい市場だ」と述べた。
米国と中国は政治面で対立が続いているが、そうした状況下でも各国企業は中国市場でのビジネスに意欲的だ。杉山氏は「IntelやTesla、Apple、Applied Materialsのような米国企業は積極的に中国トップと話をしてビジネスを推進しようとしている。ドイツやオランダ、フランスでも同様だ」と説明。巨大な中国市場でどう戦うかという面で「各国企業が政治とビジネスは切り離して動いている」とした。
杉山氏は、用途別の半導体市場予測についても説明した。用途別では、スマホ向け半導体の市場縮小トレンドが2023年後半まで継続すると予測。杉山氏は「2022年前半、スマホの出荷量が低下しているにもかかわらず、スマホ向け半導体の売り上げは前年比プラス成長となっていた。このときスマホメーカーが半導体の在庫をため込み、在庫消化のため現在は半導体を買い控えている状況だ。2023年第4四半期にかけて、スマホ新製品の発売に伴い半導体売上は徐々に回復するだろう」と分析。また、長期的なスマホの出荷動向について、同氏は「2017年の14億台をピークに緩やかな減少傾向にある。機能が成熟して『今のもので十分』というユーザーが増えていることや、メンテナンス事業の拡大が理由だ。出荷先としては中国、アジア、オセアニアが大きい市場で、ここをどう取るかが重要になる」とした。
PCおよびデータセンター向け半導体については、杉山氏は「PCの市況はスマホ以上に悪化したものの、スマホほど半導体の在庫をため込んでいない。半導体売り上げの回復はスマホ向けより若干早く、2023年第3四半期ごろからになる」と予測。コロナ禍の在宅ワーク需要などで購入されたノートPCの買い替えが始まる見込みだ。データセンター向けは需要が旺盛で将来の成長が期待されるものの、現在メーカーはため込んだ半導体在庫を消化中。半導体売り上げは2023年末以降回復に向かうとみられるが、2023年全体では2022年比でマイナス成長となる見込みだという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.