ここからは、内容をがらりと変えて、2023年7月にバンダイが発売した「Tamagotchi Uni(以下、たまごっち ユニ)」を取り上げる。たまごっち ユニはIoTトイとして発売されていて、Wi-Fi通信機能を持つという大きな特徴を持っている。図5に示したように、内部はコンピュータ処理基板、リチウムバッテリー、ディスプレイ、スピーカーという構造になっている。
図6は、たまごっち ユニの基板に搭載されている主要チップの様子である。
これらの主要チップは全て、中国半導体メーカー製だ。カーナビやタブレットなどのオーディオに多数採用されるEverest SemiconductorのAudio Codec、世界的なシリアルフラッシュメーカーGigaDevice Semiconductorのメモリ、多くの組み込み製品に採用されるESPRESSIFの通信マイコン「EPS32-S3」が採用されている。これら以外にも、センサー系、電源系で中国半導体メーカーのICがたまごっち ユニに搭載されている。
図7は、メインの通信マイコンEPS32-S3のチップ開封の様子である。大容量のSRAM、通信用RF、CPUなどが1シリコンに収まっていて、このクラスのチップでは最上位のコストパフォーマンスとなっている。CPUはEDAメーカーCadence Design Systemsの「Xtensa LX7」2基に加え、RTC処理のCPUにはRISC-Vが採用されている。
図8は、たまごっち ユニに採用されるモーションセンサー開封の様子である。MEMSモーションセンサーも中国半導体メーカー製となっている。
今回はモンスター級ハイエンドのApple M2 Ultraと、対局にあるトイ製品を取り上げた。ハイエンドとローエンドは対局にあるが、日本として考えておきたい題材が両者にある。ハイエンドは米国メーカーに大きく先行され、ローエンドは中国に完全に支配されてしまった感があるからだ。日本はミドルと生きるという生き方もあるだろうが、ローは時間が経てば必ずミドルに上ってくる。ハイは機能をカットすればいつでもミドルにダウングレードできる。日本の目指す方向を考えるためにも、今後もハイエンド、ローエンドともに分解し報告していきたい。
2023年8月29日から9月29日までの会期で実施するオンライン展示会「ITmedia Virtual EXPO 2023 秋」(主催:EE Times Japanなど)で、本連載の筆者である清水洋治氏が、主催講演に登壇。4nmプロセスを採用した最新プロセッサを解剖した結果について語ります。講演で紹介するプロセッサは、「MediaTek Dimensity 9200」「Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2」「Intel Core i9-13900K」「AMD Ryzen 9 7950X」「瑞起 X68000 Z」など。大手の主要最新プロセッサを網羅しています。
ぜひ、ITmedia Virtual EXPO 2023 秋にご参加いただき、清水氏の講演をご視聴ください。(編集部)
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