センサーデバイスと関連製品の世界市場(33品目)は、2023年見込みの8兆6237億円に対し、2029年は12兆1860億円と予測した。自動運転車やスマートグラスやヘッドマウントディスプレイといったXR機器などが市場の拡大をけん引する。富士キメラ総研が調査した。
富士キメラ総研は2023年9月、センサーデバイスと関連製品の世界市場を調査し、2029年までの予測を発表した。調査対象とした33品目の市場規模は、2023年見込みの8兆6237億円に対し、2029年は12兆1860億円と予測した。自動運転車の他、スマートグラスやヘッドマウントディスプレイといったXR機器などが市場の拡大をけん引するとみている。
今回の調査は、エリアイメージセンサーやLiDAR、超音波センサー、MEMSマイクロフォン、変位センサー、加速度センサー、温度/湿度センサー、レベルセンサーといったセンサー製品および、センサーネットワークを構築する無線通信デバイスなどを対象とした。用途としては、スマートフォンやウェアラブル機器、ドローン、自動車、AGVなど多岐にわたる。調査期間は2023年4〜7月。
センサーデバイスはこれまで、スマートフォン向けが市場をけん引してきた。今後は自動運転車やXR機器向けあるいは、IoT(モノのインターネット)化が進む産業機器向けなどで、市場の拡大が期待されている。
センサーデバイス市場を「光・電磁波」や「音波・磁気」「機械・物理」「環境」および、「通信・その他デバイス」という分類で調査した。「光・電磁波」製品は、自動運転車向け3D LiDARや、XR機器向けエリアイメージセンサーなどの需要増に期待する。「音波・磁気」製品では、MEMSマイクロフォンや磁気センサーで新たな用途拡大が進むとともに、車載用途で超音波センサーの量的拡大を見込む。
「機械・物理」製品は今後、EV用二次電池の製造工程で用いられる変位センサーや、インフラモニター向け光ファイバーセンサーなどの需要拡大が期待されている。「環境」製品は、車載用の流量センサーやタンク内の材料管理などを行うレベルセンサーなどに加え、車載水素センサーの動向に注目している。
「通信・その他デバイス」製品は、市場規模が最も大きい分野である。センサーネットワークを構築する無線通信デバイスやその電源となるバッテリーデバイスが対象となる。今後は、「Unlicensed LPWA」や「衛星通信」など、チップや通信のコスト削減につながる製品の需要が拡大することになろう。
富士キメラ総研は、今回の調査結果に基づき注目市場として3製品を挙げた。1つ目は「光ファイバーセンサー(インテロゲーター)」である。ひずみゲージの代替利用として注目されており、インフラ設備における耐環境性の測定、セキュリティ分野で耐妨害電波や多点同時センシングといった用途で期待されている。市場規模は、2023年見込みの475億円に対し、2029年は695億円と予測した。
2つ目の「温度センサー(サーミスター)」は主に、NTCサーミスターが対象となる。スマートフォンや家庭用エアコン、PC、自動車などに搭載されている。2023年は数量ベースで前年を下回るが、部材高騰などにより金額ベースでは2022年実績を上回る見通し。今後は、電動化により、バッテリーやモーターの温度監視など自動車分野での需要拡大が見込まれる。市場規模は、2023年見込みの629億円に対し、2029年は855億円となる。
3つ目は「LiDAR(2D/3D)」である。2023年時点では主に、障害物検知の用途で2D LiDARがAGV(無人搬送車)や半導体搬送向けOHT(Overhead Hoist Transport)に採用された。将来的には、自動運転レベル4/レベル5対応車両の登場によって、3D LiDARが急速に伸びるとみている。市場規模は、2023年見込みの726億円に対し、2029年は7741億円と予測、10倍以上の市場規模となる。
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