2023年度第3四半期のウエハー投入量ベースの前工程稼働率は60%弱で、「生産調整によって、想定より若干減少した」としている。ライン別の稼働率(下図)をみると、8インチラインが70%付近となっている一方で、12インチラインは40%程度まで低下している。新開氏は、8インチラインではダイバンク拡充のために前四半期比で増加した一方、12インチラインはダイバンクの補充が終わったことから、稼働率が低下したと説明した。
なお、2023年度第4四半期は、8インチラインでは第3四半期末でダイバンクの補充がおおむね完了していることから稼働率が低下する一方、12インチラインについては、ミックスの改善が進むことで多少稼働率が上がる見通しだ。ただ結果としては、全体では前年同期からさらに微減となる見込みだという。
ただ、稼働率は第4四半期が「当面のボトムとなる」と見込みといい、新開氏は「2024年度第1四半期以降、12インチの工場(茨城県の那珂工場)での40nmマイコンの増産投資の効果が寄与することを見込んでいる。第1四半期後半からその分の稼働が増え、全体の稼働率を押し上げるだろう」と述べていた。
柴田氏は、米国による対中規制強化を受け、中国が成熟ノード強化を進める状況にも触れた。特にIGBTでは中国の競合が「本当にすごく、ものすごく伸びてきている」と述べ、「中国でIGBTを伸ばすということは、今後考えにくい。当社の先々のプランでも、あまり中国を前提としないプランで運営している」と説明した。
一方、マイコンやアナログ半導体については「今のところローカルの競合がどんどん出てきているという感覚は全くない」という。ただし、柴田氏は「これも時間の問題かもしれない」と続け、より高いパフォーマンスや信頼性が要求される分野での展開、さらにソリューションとしての提供を加速し「より高付加価値のマイコン、アナログのビジネスを伸ばしていく」と語った。
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