多画素化は、より微細な対象物の検出や、広範囲の撮影を可能にし、SWIRを使った各種検査における識別や計測精度の大幅な向上に貢献する。
SSSが、特に多画素化の需要が大きいと見込むのが、半導体の検査分野だ。開発担当者は、「プロセスの微細化によってウエハーの品質検査における要求精度が高まる中、IMX990より一歩進んだものが欲しいという声が多かった」と説明。また、「ICの3D化など、縦に構造を作っていくものも増加してきたことから、アライメント精度の要求も高まっている。高解像度化によってミクロンオーダーの位置合わせが可能になる」などと述べている。
また、開発担当者は「産機向けに広く活用されている当社の産業用CMOSイメージセンサー『Pregiusシリーズ』でとりわけ世の中に浸透しているのが、今回のような画素サイズ3.45μmで5M/3Mピクセルのセンサーだ。産機向けで好まれている可視光センサーの解像感を、SWIRイメージセンサーで実現できたのは大きなポイントだ」とも語っていた。
さらに、新製品では、環境の明暗に左右されず低ノイズの撮像が可能となる撮影モードを新たに搭載した。
十分な光量が確保できる環境では、「LCG(Low Conversion Gain)モード」によってダイナミックレンジを重視した撮像が可能となっている。一方で、光量が限られる暗い環境では、光が電気信号に変換された直後のまだノイズが少ない状態の時に信号を増幅することで、その後に載るノイズを相対的に小さくする「HCG(High Conversion Gain)モード」によって、低ノイズの画像を取得できるという。
加えて、新開発の撮影モードである「Dual Read Rolling Shutter(DRRS)」を有効にすることで、さらなるノイズ低減を実現するとしている。DRRSは、イメージセンサーから特殊な2種類の画像(シグナル成分が含まれた画像と、そのシグナル成分のノイズ成分を打ち消すような画像)を出力。これらの画像をカメラ側で合成することで、ノイズ成分を大幅に除去した画像の取得を可能にする新機能だ(画像演算をするために後段システムにフレームメモリを設ける必要がある)
開発担当者は、「IMX990/MIX991で好評だった画質感を、画素を微細化したからと言って裏切りたくないという思いがあった。技術的な難易度は高かったが、微細化と画質の両立を達成したのが、今回最大のポイントだ」と語っていた。
なお、SSSはIMX992と同時に、同じく3.45μm角の画素サイズで、1/1.8型(対角8.9mm)有効約321万画素の「IMX993」も商品化し、ラインアップを拡充すると発表している。
IMX992、IMX993ともに電子冷却素子内蔵セラミックPGA(30.0mm×30.0mm)またはセラミックLGA(21.0mm×20.0mm)パッケージで提供し、サンプル出荷時期は2024年2月を予定している。価格はいずれも非公開。
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