WSTS(世界半導体市場統計)は2023年11月28日、2023年秋季の半導体市場予測を発表した。それによると、2024年の世界半導体市場規模は、前年比13.1%増の5883億6400万米ドルと、過去最高を更新する見込みだ。
WSTS(World Semiconductor Trade Statistics/世界半導体市場統計)は2023年11月28日、2023年秋季の半導体市場予測を発表した。それによると、2023年の世界半導体市場規模は、前年比9.4%減の5201億2600万米ドルと、4年ぶりのマイナス成長になる見込みだ。一方で、2024年の世界半導体市場規模は、生成AI(人工知能)需要などを背景に、前年比13.1%増の5883億6400万米ドルと、過去最高を更新すると予測している。
この予測は、2023年9月までの実績値を基に作成された。WSTSの半導体市場予測は、加盟する半導体メーカー(現在43社)がWSTS半導体市場統計を参照して作成した予測値を基に予測会議を実施し、マクロ経済や主要電子機器の動向も参考にしながら検討を加えて作成される。市場予測会議は年に2回、原則5月と11月に開催される。2023年秋季半導体市場予測会議は2023年11月14〜16日の3日間、米国のサンフランシスコで開催された。
2022年の世界半導体市場規模は、前年比3.3%増の5740億8400万米ドルだった。この結果について、WSTSは「半導体市況は、世界的なインフレやそれに伴う値上げ、地政学リスクの高まりが個人消費や企業の設備投資などに影響し、年途中からメモリを筆頭に多くの用途/製品で悪化した」と分析している。
2023年は、前年比9.4%減の5201億2600万米ドルと予測した。年前半は、2022年途中から続く上述の下押し要因によって、メモリをはじめとして大半の製品がマイナス成長となった。一方で、年後半からは、利用が急拡大している生成AIの恩恵を受けてロジック半導体の需要が急増、さらにメモリやマイクロ(MPUやMCUなど)などの需要も回復傾向にあるという。また、省エネ/高効率化に不可欠なパワーディスクリートについては、年間を通して安定成長を見込んでいる。結果、通期では前年比一桁マイナスにとどまると予測した。
2024年は、前年比13.1%増の5883億6400万万米ドルと市場が再拡大し、過去最高だった2022年の5740億8400万米ドルを上回ると予測している。生成AI関連やパワーディスクリートの需要の継続成長が見込める他、年後半からは景気回復への期待を念頭に、電子機器全般の需要が拡大するとの想定も織り込まれた形だ。
2023年の地域別市場予測は、米州と日本、アジア太平洋の各地域でマイナス成長を、欧州、中東およびアフリカではプラス成長を見込んでいる。2024年は全地域でプラス成長となる予測だ。
日本の半導体市場(円ベース)は、2022年は前年比31.7%増の6兆3264億円だった。2023年は、自動車用途を中心にマイクロ、アナログ半導体、ディスクリートがプラス成長を継続し、同4.2%増の6兆5937億円になる見込みだ。2024年は、さらに成長を加速し、同8.0%増の7兆1221億円になると予測した。
世界の製品別市場規模(米ドルベース)は、2023年はディスクリートが前年比5.8%増の360億米ドル、オプトエレクトロニクスが同3.0%減の426億米ドル、センサー&アクチュエーターは同10.9%減の194億米ドル、IC全体は同11.0%減の4222億米ドルになる見込みだ。
2024年は、ディスクリートが前年比4.2%増の375億米ドル、オプトエレクトロニクスが同1.7%増の433億米ドル、センサー&アクチュエーターは同3.7%増の201億米ドル、IC全体は同15.5%増の4875億米ドルと予測した。IC製品別では、メモリが同44.8%増の1297億6800万米ドル、ロジックは同9.6%増の1916億9300万米ドル、マイクロは同7.0%増の819億3700万米ドル、アナログは同3.7%増の840億5600万米ドルと予測した。
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