2030年代の勝負に挑む半導体人材の確保が急務、産学官の代表が連携強化を誓う：SEMICON Japan 2023（2/2 ページ）

[半田翔希，EE Times Japan]

経産省／文科省「半導体発展や人材確保を全力で支援」

経済産業省 商務情報政策局 局長の野原諭氏

　経済産業省の半導体戦略について、経済産業省 商務情報政策局 局長の野原諭氏は、「半導体不足から日本経済／日本国民を守るということを第一の政策目標に設定している。半導体は、急成長を遂げていて、デジタル社会で欠かせない技術だ。技術成長が著しい以上、投資はスピード勝負だ。今投資を始めなければ将来はない。積極的な投資で未来を創っていく」と語った。

　人材確保／育成については「最重要課題」としつつ「1つの企業や団体では成り立たない問題だ。産学官が一丸となって取り組まなければならない。政府としては、海外とも連携や交流を深め、人材確保／育成を支援していく」（野原氏）と述べた。

文部科学省 大臣官房審議官の永井雅規氏

　文部科学省 大臣官房審議官の永井雅規氏は、文部科学省（文科省）の取り組みについて「文科省においても、半導体が現在社会を支える製品の根幹技術と認識している。具体的には、東北大学のスピントロニクス半導体技術や名古屋大学のGaN（窒化ガリウム）研究をはじめとした、日本の大学／研究機関が強みを持つ分野について、イノベーションの基盤である研究力強化や人材確保／育成に向けた支援を行っている。今後も、経産省をはじめとした官公庁と連携を深めて、全力で半導体産業の発展を支援していく」と語った。

ワクワクするような挑戦の機会を子供たちに

　Rapidus 社長の小池淳義氏は、「未来の人材に伝えたいことは『大きな夢を持とう』ということだ。そのためには、小学生や中学生などの若い時代に、ワクワクするような挑戦の機会を提供することが重要だ。社会人も、真剣になって子供たちと議論をすることで、とてもいい刺激を受けると思う。Rapidusは、北海道のさまざまな都市や大学、人を巻き込んで、人材育成や経済発展に貢献していきたい」と語った。

　IBM Research副社長のMukesh Khare氏は、日本の半導体産業発展に向けた取り組みについて「IBMは、日本の半導体産業の復活を非常にうれしく思っている。これからの10年は、生成AI（人工知能）が中心となって経済成長が推し進められるだろう。AI技術や半導体産業の発展には、産学官連携が必要不可欠だ。日本は、産学官が一体となって、国として半導体産業の活性化に取り組んでいることが素晴らしい」とコメントした。

左＝IBM Research 副社長のMukesh Khare氏／右＝Rapidus 社長の小池淳義氏 出所：SEMI Japan