ダイヤモンドMOSFET相補型パワーインバーター開発へ : 100kHzでの高速動作を検証
Power Diamond Systems(PDS)は、pチャネル型のダイヤモンドMOSFETとnチャネル型のSiC-MOSFET/GaN-HEMTを組み合わせた相補型パワーインバーターの開発に着手した。トランジスタの動作周波数を高速化することで構成部品を小型化でき、インバーター自体もさらなる小型化と軽量化が可能となる。
Power Diamond Systems(PDS)は2023年12月、pチャネル型のダイヤモンドMOSFETとnチャネル型のSiC-MOSFET/GaN-HEMTを組み合わせた相補型パワーインバーターの開発に着手した。トランジスタの動作周波数を高速化することで構成部品を小型化でき、インバーター自体もさらなる小型化と軽量化が可能となる。
インバーターは、直流電流を交流電流に変換するための電源回路。応用機器では省エネの実現に向け、小型軽量で効率が良いインバーターの要求が高まっている。インバーターの高速動作に向けては、ワイドバンドギャップ半導体の活用や、nチャネル型とpチャネル型のトランジスタを組み合わせた相補型パワーインバーターが提案されている。
ところがSiCやGaNでは、nチャネル型トランジスタと同等性能を備えたpチャネル型トランジスタを作製することが極めて難しかったという。そこで、ダイヤモンド半導体デバイスの研究開発を行うPDSは、pチャネル型ダイヤモンドMOSFETを開発し、nチャネル型トランジスタと同等性能を実現した。
今回は、このpチャネル型ダイヤモンドMOSFETと、nチャネル型SiC-MOSFET/GaN-HEMTを組み合わせた相補型パワーインバーターを開発し、100kHzでの高速動作を検証した。今後は、外部パートナーとの連携を加速し、性能の改善やインバーターモジュールの開発に取り組む計画である。
開発した相補型パワーインバーターの回路ブロックと入出力波形の一例[クリックで拡大] 出所:PDS
WBG半導体単結晶の市場が急成長、2030年に3176億円
矢野経済研究所はSiC(炭化ケイ素)などのワイドバンドギャップ(WBG)半導体単結晶の世界市場に関する調査結果を発表した。2023年の世界市場は前年比47.1%増の268億8500万円になる予測だ。市場は拡大を続け、2030年には3176億1200万円に達する見込みだという。
神経系の動作をマネ、高速動作の電気二重層トランジスタ
物質・材料研究機構 (NIMS)と東京理科大学の研究チームは、セラミックス薄膜とダイヤモンドを用い、従来に比べ8.5倍も高速動作する電気二重層トランジスタを開発した。このトランジスタはニューロモルフィック動作を高速かつ高い精度で行えるという。
佐賀大学、ダイヤモンド半導体パワー回路を開発
佐賀大学は、ダイヤモンド半導体パワー回路を開発し、高速スイッチング動作と長時間連続動作が可能なことを確認した。Beyond 5G基地局や通信衛星、電気自動車などの用途に向け、実用化研究を加速させる。
パワー半導体市場、2035年には13兆4302億円規模に
富士経済が2022年4月に発表した次世代パワー半導体とSiパワー半導体の世界市場の調査によると、パワー半導体市場は自動車/電装分野にけん引され、2035年には2022年比5.0倍の13兆4302億円規模に達するという。
ダイヤモンドと絶縁膜の界面にできる欠陥を低減
奈良先端科学技術大学院大学と近畿大学、大阪大学および、台湾成功大学の研究チームは、ダイヤモンド半導体の絶縁膜界面に形成される欠陥の立体原子配列を解明した。ダイヤモンド半導体の開発、実用化に弾みをつける。
SiCやGaN、ダイヤモンド基板をゆがみなく研磨する技術、阪大
「SEMICON Japan 2022」(2022年12月14日〜16日、東京ビッグサイト)において、将来有望な半導体に関する大学/大学院の研究を表彰する「アカデミア Award」が初開催された。
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