経済産業省(経産省) 商務情報政策局 情報産業課 デバイス・半導体戦略室長の清水英路氏は、「SEMICON Japan 2023」のグランドフィナーレパネルで登壇し、「経済産業大臣が誰に代わったとしても、経産省が半導体分野に積極投資する姿勢に変わりはない」と、半導体政策の継続性を強調した。
「SEMICON Japan 2023」(2023年12月13〜15日/東京ビッグサイト)の最終日である2023年12月15日には、経済産業省(経産省) 商務情報政策局 情報産業課 デバイス・半導体戦略室長の清水英路氏、Cdots 共同創業者の小柴満信氏、東京理科大大学院MOT 経営学研究科技術経営専攻 教授の若林秀樹氏らがグランドフィナーレパネルで登壇し、国内の半導体産業発展に必要な取り組みについて議論した。
清水氏は冒頭、2023年12月14日に経済産業大臣(経産相)が西村康稔氏から齋藤健氏に交代したことに触れ「経産相が誰に代わったとしても、経産省が半導体分野に積極投資する姿勢に変わりはない」と、半導体政策の継続性を強調した。
経産省は、2023年度補正予算案で、半導体や生成AI(人工知能)の支援に約2兆円を充てることを決定している。西村氏は2023年12月13日のオープニングセレモニーで「Rapidusの先端半導体開発の他、半導体製造装置から材料、設計、AI(人工知能)開発、次世代人材の育成に至るまで、広く半導体産業を支援していく計画だ」と語っていた。
世界半導体市場は、2030年には1兆米ドルに到達するといわれている。清水氏は、半導体分野における経産省の目標について「世界半導体市場シェアの15%を取りに行くことだ」と述べ、具体的な方針として「先端半導体の確保はもちろん、先端パッケージング技術や半導体設計技術にも積極的に投資していく。外交にも力を入れ、半導体サプライチェーンの強化に努める。そして、次世代の高度人材の育成に向けて大学や高等専門学校などとの連携を強化する。政府ができることは何でもする所存だ」と語った。
若林氏は、政府の半導体戦略について「以前は、“遅い”“小さい”“絵にかいた餅”という残念なものだった。しかし、昨今の取り組みは、“速い”“大きい”“社会実装”ができている。また、これまでは大臣が変われば方針も変わっていた。しかし、今回は、大臣が変わっても方針を変えないという点からも、政府の本気度がうかがえる」と評価した。
小柴氏は、半導体政策が順調に進んでいる理由について、「今や政治とテクノロジー(半導体)は切っても切り離せなくなった。昔と現在の違いは、日本/米国の2国間で半導体戦略に関する合意があることだ。外交上の合意があることで、大臣や官僚が変わっても方針を簡単には変えられない。だからこそ、民間も安心して半導体分野に投資できる」と考察した。
半導体業界の現状について、若林氏は「今回が、日本の半導体産業復活のための“最後で最大のチャンス”だ。国家安全保障、円安傾向、技術トレンド(チップレットや先端パッケージングなど)という50年に1度の要素が3つ重なっている。産学官が連携して行う半導体人材の育成や半導体サプライチェーンの強靭化、政府による資金援助を継続し、皆で志を合わせて、一緒にこのチャンスをつかみに行くべきだ」と語った。
半導体産業における官民連携について、清水氏は「今が正念場だ。ここ数年の勢いを途切れさせてはいけない。官民協力は始まったばかりで、やるべきことはまだまだある。これからも(経産省/政府に)協力してほしいし、協力したいと考えている。10年後も同じ話をしているかもしれないが、それくらい半導体産業が重要だと考えている。経産省は、各省庁との連携を最大限強化し、予算を確保していく。民間企業も積極的に投資を行ってほしい」と力強く話した。
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