図3に、DRAMとNANDの2023年第3四半期(Q3)までの四半期出荷額の推移を示す。グラフから明らかなように、DRAMとNANDでは、2023年Q1以降の挙動が大きく異なっている。
まず、DRAMは、2022年Q2に255.9億米ドルを記録した後、出荷額が大きく減少し、2023年Q1にピーク時の約38%の96.6億米ドルに落ち込んだ。しかし、その後、回復に転じ、同年Q3にはピーク時の約53%の134.8億米ドルまで増大した。
一方、NANDは、2022年Q2に181.2億米ドルを記録した後、DRAMと同じように急激に減少し、2023年Q1にピーク時の約48%の86.3億米ドルに落ち込んだ。ところがその後、DRAMは回復に転じているのに、NANDはほぼ横ばいで、同年Q3に92.3億米ドルにとどまっている。
なぜ、DRAMとNANDの回復の挙動が異なるのだろうか? 各メモリの出荷額は、メモリ価格と各企業の生産量で決まる。ここから、まずはメモリ価格の変動を見てみよう。
図4は、2023年12月14日に開催された、台湾の調査会社TrendForceのセミナー『産業フォーカス情報』で、TrendForceのシニアアナリスト部長であるKen Kuo氏が発表したデータを基に作成したグラフである。
この図を見ると、DRAM価格もNAND価格も、2023年Q1〜Q3までは、前四半期より価格がダウンしていることが分かる。しかし、2023年Q3の価格変動をよく見ると、DRAMが−5%〜0%であるのに対して、NANDは−10〜−5%となっている。
つまり、DRAMもNANDも、2023年Q3は価格が下がっているが、その下がり幅が、DRAMの方がNANDより小さい。このことが、2023年Q1からQ3にかけて、DRAMが回復に向かっているのに、NANDが横ばいのままとなっている一つの根拠かもしれない。
しかし、どうもこれだけでは根拠が弱いように思う。まだ何か別の原因が隠れている気がする。そこで、DRAMとNANDについて、それぞれ、企業別の四半期売上高を調べてみることにする。
なお、2023年Q4から2024年Q4までは、DRAMもNANDも価格変動がプラスで推移すると予測されている。もしこの通りになれば、2024年にMos Memoryが大きく回復することが期待される。
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