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2024年の半導体市場、本格回復はメモリ次第 〜HBMの需要増で勢力図も変わる?湯之上隆のナノフォーカス(69)(4/5 ページ)

» 2024年01月18日 12時45分 公開

NANDの企業別の四半期売上高

 図8に、NANDの企業別の四半期売上高を示す。このグラフを見て、やはり筆者は「うわあ!」と叫んでしまった。2022年Q2以降、全てのNANDメーカーの売上高が急降下する。そして多くのNANDメーカーが2023年Q1で底を打っている。それにもかかわらず、キオクシアだけが売上高の減少が止まらないのである。

図8 NANDの企業別四半期売上高(〜2023年Q3) 図8 NANDの企業別四半期売上高(〜2023年Q3)[クリックで拡大] 出所:TrendForceのData Trackのデータを基に筆者作成

 2023年Q1からQ3にかけて、売上高1位のSamsungは横ばいである。また、米Intelの大連工場を買収した2位のSKグループはNANDでも売上高を伸ばしている。加えて、米WD(Western Digital)もわずかに売上高を伸ばして3位になった。ところが、売上高の低下が止まらないキオクシアは、SKグループにもWDにも抜かれて4位に転落してしまった。Micronもあまり売上高を増やせていないが、もし、Micronが伸びてきたら、キオクシアの順位がさらに下がることになる。

 図9に示す、NANDの売上高シェアで見ても、キオクシアの苦境は明らかである。2023年Q3のシェアは、高い方から、1位がSamsung(31.4%)、2位がSKグループ(20.2%)、3位がWD(16.9%)、4位がキオクシア(14.5%)、5位がMicron(12.5%)となっている。

図9 NANDの企業別四半期売上高シェア(〜2023年Q3) 図9 NANDの企業別四半期売上高シェア(〜2023年Q3)[クリックで拡大] 出所:TrendForceのData Trackのデータを基に筆者作成

 キオクシアのシェア14.5%というのは過去最低であり、今後もシェアを回復できるかどうか分からない。というのは、WDとの経営統合に失敗したキオクシアは財務状況が悪化しており、半導体製造装置メーカーに、「支払いを2年ずらせないか」と懇願したという記事が出回っているほどだからだ(日経新聞2023年12月20日)。

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