レゾナックは2024年2月14日、2023年度通期(2023年1〜12月)の決算発表に合わせて行った戦略説明会で、石油化学事業のパーシャルスピンオフ(分社化)の検討を開始したと発表した。石油化学事業を切り離すことで、半導体材料への事業集中を加速させる。
レゾナックは2024年2月14日、2023年度通期(2023年1〜12月)の決算発表に合わせて行った戦略説明会で、石油化学事業のパーシャルスピンオフ(分社化)の検討を開始したと発表した。2〜3年以内での実現を念頭に置き、2024年末に向けて検討を進める。
レゾナック社長 兼 CEO(最高経営責任者)の高橋秀仁氏は、パーシャルスピンオフの検討を開始した理由について「石油化学事業を切り離すことによって、レゾナック本体が半導体材料分野に集中して取り組むことができるようになる」と語った。
レゾナックは、「半導体材料を核にした全社利益成長の実現」を目指し、事業ポートフォリオ改革に力を入れている。2021年以降、蓄電デバイス・システム事業やセラミック事業などを含む9事業(事業規模で約2000億円相当)を既に売却している。
今回のパーシャルスピンオフ検討の対象となる製品には、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが含まれる。対して、川崎事業所で生産を行うアンモニア、苛性ソーダ、高純度次亜塩素酸ソーダなどの工業薬品はレゾナックに残す。
パーシャルスピンオフとは、一定の要件を満たすスピンオフ(現物分配)において、事業を切り出した後も、親会社が子会社株式の20%未満であれば保有できる制度だ。レゾナックは、今回のパーシャルスピンオフが実現した場合、分社先の子会社の2割の株式を保有し、残りの8割を現在レゾナックの株式を保有している株主に現物配当する予定だ。
高橋氏は、「さまざまな分社化の方法がある中で、パーシャルスピンオフが現時点では実現性や迅速性が最も高い方法だと考えている。(実行にあたり)超えるべき壁はいくつかあるが、ノックアウトファクター(絶対に不可能だと考えられる要因)は現時点ではないと考えている」と説明した。
なお、今後分社化の検討を進めるに当たって、ジョイントベンチャーなど他の方法が最適だと判断した場合は、パーシャルスピンオフ以外の方法を選択する可能性もあるという。
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