前回に続き、第4章「電子部品」の概要を説明する。「4.1.2 技術動向」は、「インダクタのインダクタンス値の拡大」など、3つの項目で構成される。
電子情報技術産業協会(JEITA)が3年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2022年度版 実装技術ロードマップ」(書籍)を2022年7月に発行した。本コラムではロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、ロードマップの概要を本コラムの第377回からシリーズで紹介している。
前回から、第4章「電子部品」の概要説明を始めた。前回は第4章第1節(4.1)「SMD(Surface Mount Device)部品」の項目「4.1.1 チップサイズトレンド」の内容をご報告した。今回は続きの項目である「4.1.2 技術動向」の概要をご説明する。なおタイトルは「技術動向」となっているが、実際の内容は「製品開発動向」あるいは「製品開発ロードマップ」である。
「4.1.2 技術動向」は以下の3つの項目によって構成される。「4.1.2.1 インダクタのインダクタンス値の拡大」「4.1.2.2 セラミックコンデンサの高容量化・低ESR化、薄型化」「4.1.2.3 チップ抵抗器の高電力化」である。
はじめは「インダクタ」の製品動向を取り上げよう。インダクタの製品群は用途別に分かれており、主に「電源用」「信号用」「高周波用」の3種類が市販されている。
「電源用インダクタ」には低背化(高さの低減)と小型化がモバイル機器から要求されている。過去における外形寸法の変化を上げよう。携帯電話端末向けでは2010年の2.5mm角×高さ0.8mmから、2014年の2mm角×高さ0.8mm、2020年の2mm角×高さ0.6mmへと小さく薄くなってきた。ノートPCのCPU向けでは2010年の8mm角×高さ3mmから、2014年の8mm角×高さ2.5mm、2020年の高さ8mm角×高さ2mmと低背化が進んだ。
構造別では「巻線型」と「積層型」、「薄膜型」に分かれる。これらの中では「巻線型インダクタ」が直流重畳特性と直流抵抗値のバランスが良い。大きさが2mm角〜3mm角で高さが1mmまでの巻線型インダクタが電源用インダクタとしては最も多く使われている。
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