富士キメラ総研は、先端/注目半導体デバイスなどの世界市場を調査し、2029年までの予測を発表した。先端/注目半導体デバイス15品目の世界市場は、2023年見込みの40兆2187億円に対し、2029年は59兆7292億円規模に達すると予測した。
富士キメラ総研は2024年3月、先端/注目半導体デバイスなどの世界市場を調査し、2029年までの予測を発表した。2024年以降は生成AI(人工知能)や自動車向け半導体デバイスが市場をけん引。先端/注目半導体デバイス15品目の世界市場は、2023年見込みの40兆2187億円に対し、2029年は59兆7292億円規模に達すると予測した。
今回の調査は、PCやサーバに向けたCPU、GPU、FPGA、アクセラレーターなどの半導体デバイス15品目をはじめ、シリコンウエハーやフォトマスク、フォトレジストなど半導体関連材料13品目、露光装置やドライエッチング装置など半導体関連装置6品目、その他部品材料4品目、PCやサーバ、自動車など半導体デバイス搭載機器5品目を対象とした。調査期間は2023年10月〜2024年2月。
2023年の先端/注目半導体デバイス15品目の世界市場は、前年から続く応用機器の需要低迷と、機器メーカーによる半導体在庫調整などの影響を受け、市場規模は前年比14.3%減となった。
2024年以降は市場拡大が続くとみている。特に、生成AI向けを中心にAI関連の半導体デバイス需要は、大きな伸びを見込む。中でも、サーバ向けのアクセラレーターやCPUの動きに注目する。また、2024年にはAI PCが登場するとみられ、エッジ側でもAI活用が本格化し、これらが先端半導体デバイスの需要を押し上げる。車載向けでも、電動化やADAS(先進運転支援システム)など安全装置の搭載率の上昇によって、需要が拡大すると予測した。
半導体関連装置6品目の世界市場は、露光装置などが好調で2023年は前年比4.4%増の7兆875億円を見込む。主要半導体メーカーは引き続き、次世代の微細加工プロセスや新型パッケージに対応するための設備投資を行う計画である。これらに関する装置需要は活発で、2029年には12兆1760億円の市場規模になると予測した。
今回の調査では、注目市場として「サーバ向けアクセラレーター」と「車載SoC(System on Chip)/FPGA」および、「露光装置」の3品目を挙げた。中でもサーバ向けアクセラレーター市場は、「ChatGPT」など生成AIが生み出す新たな需要に期待する。市場規模は2023年の7096億円に対し、2029年は2兆2011億円規模に達すると予測した。
車載SoC/FPGA製品は、カーナビゲーションシステムやIVI(In-Vehicle Infotainment)システムなどの情報表示機器、車載カメラやミリ波レーダーといったADASに用いられる。高度な自動運転への対応や安全性をさらに高めるセンシング機能の実現に向け、半導体デバイスには高い演算能力と低消費電力への要求が高まる。これらを背景に、市場規模は2023年見込みの7570億円に対し、2029年は1兆3220億円と予測した。
一方、半導体デバイスの回路を形成する工程で用いる露光装置の市場規模は、2023年見込みの3兆3000億円に対し、2029年は4兆7900億円と予測した。2023年の反動もあって、2024年はほぼ横ばいの見通しだが、2025年以降はメモリ向け設備投資も再開が期待されている。またロジック向けでは、EUV(極端紫外線)露光装置の導入などが進むことから、市場拡大を予想した。
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