Intel、CHIPS法の補助金を「ようやく」獲得 最大85億ドル : 最大110億米ドルの融資も
Intelは、半導体製造拠点拡大に向けて米国政府から最大85億米ドルの補助金支給を受けると発表した。最大110億米ドルの融資資格も得る見込みで、同社が既に発表している5年間で1000億米ドル規模の投資と合わせると米国の半導体産業で過去最大級の投資額になる。
Intelは2024年3月20日(米国時間)、半導体製造拠点拡大に向けて米国政府から最大85億米ドルの補助金支給を受けると発表した。最大110億米ドルの融資資格も得る見込みだという。この資金提供は、米国の半導体産業支援策「CHIPS and Science Act」(CHIPS法)に基づくものだ。
米アリゾナ州で建設中の新工場を視察するIntel CEO(最高経営責任者)のPat Gelsinger氏(写真中央)[クリックで拡大] 出所:Intel
Intelはこの支援を受けて同社のアリゾナ州、ニューメキシコ州、オハイオ州、オレゴン州の拠点での半導体製造と研究開発を推進する。
Intelは5年間で1000億米ドルを超える米国への投資計画を既に明らかにしていて、今回発表したCHIPS法による資金調達と合わせると、米国の半導体製造業における投資額としては過去最大級になる。米商務省によると、新たに3万人以上の雇用が創出される見込みだという。
Intel CEO(最高経営責任者)のPat Gelsinger氏は、「米国とIntelにとって決定的な瞬間だ。AI(人工知能)によってデジタル革命が加速していて、全てのデジタル機器には半導体が必要だ。この支援はIntelと米国がAI時代の最前線に確実にとどまるための助けになる。Intelは米国の未来を支えるレジリエントで持続可能な半導体サプライチェーンを構築する」とコメントした。
補助金の遅れや労働者不足……TSMCやIntelの米国新工場が直面する課題
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米CHIPS法の理想と現実 強まる「政治色」への懸念も
米国の半導体産業支援策である「CHIPS and Science Act」(CHIPS法)が、現実に直面し始めている。専門家は「CHIPS法の補助金は、台湾に対する米国の過度な依存を改善することはできないだろう」と述べている。2024年11月に米大統領選を控え、CHIPS法が政治的な困難に直面しているとみるアナリストもいる。
旧Altera部門の新社名は「Altera」、Intelが発表
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2024年1月、IntelとUMCが、12nm世代の半導体製造プラットフォーム開発で協業すると発表した。この提携は本当のところ何を意味しているのか。Intel、UMCそれぞれの背景を見ながら、深堀りして解説したい。
「CHIPS法」だけでは不十分、米国の半導体政策
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