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廃棄される「ズワイガニ」が半導体材料に、東北大学らが発見n型半導体特性を確認(2/2 ページ)

» 2024年04月02日 10時30分 公開
[半田翔希EE Times Japan]
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バイオエレクトロニクスの実用化に貢献

 ACインピーダンス特性を測定したところ、低抵抗と高抵抗の2つの半円を持つナイキスト線図を確認した。2つの半円を原子間顕微鏡で観察したところ、それぞれ120〜350nmの針状や球状の甲殻類外骨や細胞壁組織からの寄与と推察され、このナイキスト線図の特性から、キトサンナノファイバーシートはDCおよびAC電流領域での等価回路を持つとした。

 半導体特性の電子の起源を解明するためにESR解析を行ったところ、アミニル N●H 基の不対電子ラジカルを示すESRスペクトラムを観測した。その結果、キトサンの生成電子は、スペクトル強度の線図が横軸と交わる磁場のg値から、アモルファスキトサンに生ずるアミニルN●Hラジカル起因の電子であると考えられる。

2つの半円からなるナイキスト線図 2つの半円からなるナイキスト線図[クリックで拡大] 出所:東北大学
電子の起源としてアミニルN●H基の不対電子ラジカルを示すESRスペクトラム 電子の起源としてアミニルN●H基の不対電子ラジカルを示すESRスペクトラム(左)、β-1,4結合グルコサミン基とN●Hアミニル基を持つムコ多糖類ChNFの分子構造(右)[クリックで拡大] 出所:東北大学

 同研究グループは、既に植物性ケナフを原料とするセルロースナノファイバーに同様の特性を発見している。今回発表した動物性キトサンの結果と組み合わせることで、自然界に広く賦存するバイオ素材による半導体作製、ペーパーエレクトロニクスの実用化などへの貢献が期待できるとした。

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