リサイクルには技術的な課題や高額なコスト、多くのリスクが伴うため、一部のバッテリー専門家はリサイクルへの道のりの中間ステップを提唱している。まず、それほど重要でないアプリケーションにバッテリーを再利用(リユース)することを提案している。日産自動車は最近、住友商事と共同でフォーアールエナジーを設立した(図2)。同社は、日産のEVのバッテリーをスクラップするのではなく、他の物への電力供給源として再利用、再加工、再販、リサイクル(4つの”R”)するための技術とインフラの開発を目指すとしている。
この発表は、特に、消費者に分かりやすく、親しみやすい言葉で提示されたアイデアとして多くの注目を集めた。具体的には、廃棄されたバッテリーを小型家電製品への電力供給や、住宅/小規模オフィスのバックアップ電源など“小規模な”アプリケーションに使用するという(図3)
だが、再利用は、これらの使い古されたバッテリーにとって本当に最良の選択肢なのだろうか? 本格的なバッテリーリサイクル技術が確立され、改良されるまでは、再利用するのが賢明であるという主張も可能だ。
その一方で、再利用されたこれらのバッテリーがさまざまな最終用途に分散されると、その多くは他の消費者向け最終製品のバッテリーと同じ運命をたどり、リサイクルシステムに入ることなく、ただ廃棄されるだけになる可能性もある。再利用されたこれらのバッテリーを使用するシステムのユーザーは「良いことをしている」と感じるかもしれないが、実際の影響は良くて中立で、悪くすれば逆効果でマイナスという結果になる。
これは、炭酸水や炭酸飲料の空のペットボトルをプランターに再利用することで「地球を救うお手伝いをしよう」と推奨するのと、よく似ている。その考えは立派かもしれないが、実際には有益な影響はごくわずかとされる。
自宅でプランターとして使うよりも、それらを回収してリサイクルセンターに送り、フリースのような生地やその他の最終製品に再利用する方が理にかなっている。プランターは最終的にはリサイクルされると主張する人もいるかもしれないが、ほとんどはされないだろう。
少し消耗したリチウムイオン電池の再利用について、あなたはどう考えるだろうか。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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