東京大学と味の素ファインテクノ、三菱電機、スペクトロニクスの4法人は、深紫外(DUV)レーザー加工機を用い、半導体基板の層間絶縁膜に直径3μmという微細な穴あけ加工を行う技術を開発した。次世代チップレットの製造工程などに適用していく。
東京大学と味の素ファインテクノ、三菱電機、スペクトロニクスの4法人は2024年5月、深紫外(DUV)レーザー加工機を用い、半導体基板の層間絶縁膜に直径3μmという微細な穴あけ加工を行う技術を開発したと発表した。次世代チップレットの製造工程などに適用していく。
チップ実装基板における層間配線はこれまで、40μm程度の穴をレーザーで開けて金属メッキを施すのが一般的であった。今回はDUVレーザー加工機を用いることで、これまでより1桁小さい穴あけ加工を実現した。
今回の研究成果は、東京大学が運用する「TACMIコンソーシアム」において、レーザー開発や加工機開発、材料開発および、パラメータ探索を得意とする4法人が技術を持ち寄ることで実現した。
具体的には、半導体向け層間絶縁体として多くの採用実績を持つ味の素ビルドアップフィルム(ABF)に、3μmの微細な穴あけ加工を行った。東京大学はガラス基板上に銅を蒸着。その後、レーザー加工により銅をパターン状に削り取り、微細な銅の配線を作成。味の素ファインテクノは、銅配線層上に薄膜ABFを積層することで銅上に3μmの絶縁層を形成した。
スペクトロニクスは波長266nmのDUV高出力レーザーを担当し、三菱電機は深紫外線用に開発したレーザー加工機の光学系を工夫し、集光サイズを従来よりもさらに小さくする改良を行った。そして東京大学は、AIを活用して条件探索を行い、レーザー加工のみで直径3μmの穴をABF上に作製することに成功した。
作製した微細穴の断面画像から、ABFには直径3μmの穴が5μm間隔で開き、銅の配線およびガラス基板まで貫通していることを確認した。しかも、銅配線やガラスは削れていないことが分かった。
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