東京大学と味の素ファインテクノ、三菱電機、スペクトロニクスは、半導体パッケージ基板に穴径6μm以下の微細な加工を行うための技術を開発した。LSIのさらなる微細化や大規模なチップレット集積システムを支える技術として注目される。
東京大学と味の素ファインテクノ、三菱電機、スペクトロニクスは2022年10月、半導体パッケージ基板に穴径6μm以下の微細な加工を行うための技術を開発したと発表した。高い加工品質と生産性を実現していて、LSIのさらなる微細化や大規模なチップレット集積システムを支える技術として注目される。
CPUなどの高性能半導体デバイスでは、パッケージ基板のビルドアップ材料として、味の素ファインテクノが製造販売する「味の素ビルドアップフィルム(ABF)」を用いるケースが多いという。このABFに多数の微細な穴を開け、銅めっきすることで電気的な配線を行っている。ところが、現行のレーザー加工技術では、穴径40μm程度が限界となっていた。
そこで今回、味の素ファインテクノやレーザー加工機を開発する三菱電機、深紫外短パルスレーザーを製造販売するスペクトロニクスは、東京大学が運用する産学官協創拠点「TACMIコンソーシアム」に、それぞれが強みとする技術を持ち寄り、10μm以下の穴径を加工できる技術の開発に取り組んだ。
実験に用いた次世代プロセス用開発機は、波長266nmでパルス幅がピコ秒というスペクトロニクス製の深紫外短パルスレーザーを、三菱電機がレーザー加工機に組み込んだ。さらに、東京大学が開発したレーザー加工プロセスのCPS(Cyber Physical System)化技術も活用しているという。
実験では、銅薄膜上に厚み5μmのABFを配置し、レーザー微細穴あけ加工を行った。この結果、穴径6μm以下を実現した。加工能力としては、1秒当たり数千穴という高い生産性を達成した。加工品質も高く、上面と下面の穴径比を定義するテーパー度は75%に達していることを確認した。
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