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ソフトバンク、300GHz帯テラヘルツ無線の実証実験に成功走行する車両向けの高速通信技術(1/2 ページ)

ソフトバンクは、独自のアンテナ技術を用い、300GHz帯テラヘルツ無線の実証実験に成功した。300GHz帯を利用し走行中の車両と高速通信が可能となる。

» 2024年06月06日 13時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

独自のアンテナ技術を開発、通信エリアは車道のみに限定

 ソフトバンクは2024年6月、独自のアンテナ技術を用い、300GHz帯テラヘルツ無線の実証実験に成功したと発表した。300GHz帯を利用し走行中の車両と高速通信が可能となる。

 テラヘルツ無線は、5G(第5世代移動通信)で利用されるミリ波帯に比べ、より広い周波数帯が利用できる。このため、Beyond 5G/6Gの実現に向け、注目されている技術の一つである。

 ソフトバンクはこれまで、移動通信にテラヘルツ無線を活用するための研究を続けてきた。そして、屋外における通信エリアの構築について検証を済ませ、見通し外でもテラヘルツ通信ができる可能性があることを確認してきた。ただ、端末との通信を行うには、ビームを常に追従するシステムの開発が必要となる。また、電力が分散することで通信エリアが小さくなるという課題もあった。

 今回は、通信エリアを車道のみに限定することで電力の分散を防ぎ、通信可能なエリアを広げる工夫を行った。具体的には、高さ方向に広くて、水平方向に鋭い電波を放射することにした。これにより、車の走行方向に対して安定するようなエリアを構築できたという。また、コセカント2乗ビームの特性も応用した。

走行車両向けの通信エリアを構築する実証実験の模様 走行車両向けの通信エリアを構築する実証実験の模様[クリックで拡大] 出所:ソフトバンク
車両向けテラへルツ通信のイメージ 車両向けテラへルツ通信のイメージ[クリックで拡大] 出所:ソフトバンク

 コセカント2乗特性を応用するため、コセカント1乗ビーム特性のアンテナを独自に開発した。このアンテナを基地局と端末の両方に用いることで、高いアンテナ利得を維持しつつ、コセカント2乗特性を実現し、受信電力を一定にした。開発したアンテナの外形寸法は、基地局用が1.5×1.3×1.0cm、端末用が1.5×1.3×1.5cmである。

開発したコセカントアンテナの外観 開発したコセカントアンテナの外観[クリックで拡大] 出所:ソフトバンク
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